「ほっとルーム」の設置事例のご紹介

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学校に馴染めない1年生から6年生までのクールダウン空間として、学研が新しくご提案している「ほっとルーム」。
その効果について、弊社発行の『教育ジャーナル』2012年8月号でレポートしています。
今日は、その記事をご紹介します。





子どもが安心できる場所『ほっとルーム』
心安らぐ居場所づくり
教育ジャーナル取材班


 最近あまり聞かなくなったが、5月病という言葉があった。4月、新しい世界・環境に入って5月になると心身が言うことをきかなくなるのが症状だ。大人でも、それくらいの緊張を強いられるのが「新入」。そう考えれば、新入学生がなかなか学校に適応できない、という話は、決して理解できないものではないし、どの学校でもあることだろう。そうはいっても、なかなか学校になじめないでいる新入学生の対策を、子どもや保護者だけに任せておくわけにはいかない。そこで、その対策として、まず、学校が教室環境から工夫改善したことで効果が見られている小学校を訪ねた。


やわらかいスペース

 訪れたのはA小学校。閑静な住宅街にある、児童数約500名の中規模校だ。B教頭(平成23年度)にうかがった。
 「元々子どもたちや保護者との相談室として使っていた『ほっとルーム』でしたが、学校へ行きしぶっている子やなかなか教室に入れない子たちの居場所づくりとしても活用できないかと考えていました」
 できた部屋は、一般教室の半分の広さで、「いままで小学校にはなかった、やわらかい印象の部屋。言ってみれば、少し幼保園をイメージした部屋にしてみました」と言う。実際に見ると、壁はパステルピンク、応接セットのテーブルは丸みのある、園で見かけるタイプのもの。
 そしていちばんの特徴が、床に敷かれたウレタンのマットだ。以前から、靴を脱いで素足になると子どもが落ち着く傾向があると言われていたので、思い切って、それを形にしてみたのだという。


児童に明らかな変化が

 『ほっとルーム』自体は、平成23年11月にこの形にしたので、取材時(24年5月)時点では新入生に対しての効果はまだ未知数。しかし、学校へ行きしぶっている児童に対する効果ははっきり現れているという。
 「学校には来られても、なかなか教室には行けない子にとって、ここはとてもリラックスできる場所です。担任や私とも心打ち解けながらじっくりと話すこともできます。ここを登校後のワンクッションとして、教室に行けるようになってきました。教室に行けない日も、仲のよい友達が給食を運んできて、一緒に食べたりしています。教室には行けない、でも孤立はしていない、という安心感が得られるようです」
 よく“保健室登校”という言葉を聞くが、保健室登校をしている児童にとって、いつ誰が入って来るかわからない保健室はプレッシャーがかかることもある。特に高学年の児童にとって、低学年児童の「ここで何やってるの?」という問いかけは相当厳しいものだ。
 その点『ほっとルーム』は、顔を合わせたくない来訪者が急に来ることもないので、このことも安心して過ごせる大きな要因になっているそうだ。
 一方、感情のコントロールが難しいタイプの子はどうだろう。
 「友達とけんかして怒りが静まらない子、自分の思い通りにいかなくて癇癪を起こしてしまう子なども、ここで担任とゆったりとお話をしたり、絵本や図書室の本を読んだりしているうちに気持ちが落ち着いていくことがあります。また、ゆったりペースでお勉強をしたい子や個別指導を希望している子にとっても、集中できる場所として楽しく学習しているのがわかり、とてもうれしいです」
 また、こんな副次的効果もあった。
 「行きしぶりのある児童の保護者が、登校後のわが子がどんな教室で過ごしているか心配で見にいらしたのですが、『ほっとルーム』が予想と違って温かな明るい印象で、とても安心し、学校の対応を信頼してくれるようになりました」
もちろん教職員がしっかりしたフォローをしていたからこそではあるが、保護者に安心してもらえるスペースが信頼感のバックアップをしたことは間違いないだろう。


注目すべき「素足効果」

 実は先生方が何より驚いたのが、床に敷かれたウレタンマットの効果だという。
 「『ほっとルーム』に来る子ほぼ全員が、靴を脱いで座ります。同じ本を読むのでも、椅子に座るより床に座るほうが心が落ち着くようです」
 仮説だった「素足効果」が、少なくともここでは実証されたわけだ。
 今後、A小学校では『ほっとルーム』をどのように進化させ、活用していくのだろうか。
 「もし、新入児童に学校になかなかなじめない子がいたら、もちろんこの部屋を使います。特別支援教育の意味合いから、個別指導にも活用できるし、子どものためのスペースとして充実させたいと思っています。できれば、ウレタンマットのスペースをいまの2倍にしたいですね。それに、子どもたちだけでなく、保護者も校長室よりリラックスできるらしいので、もともとの相談室としての充実も図っていきます」
 児童に時間的、精神的なゆとりを与え、かつ、学級への“所属意識”を切らさない環境として機能する『ほっとルーム』の発想は、小学校はもちろん、中学校でも力を発揮するのでは。児童生徒が多様化するなか、スペースが確保できればどの学校も導入する価値がありそうだ。

(『教育ジャーナル』2012年8月号より,一部改変)
※バックナンバーは在庫切れです。

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