HOME > 授業実践・読み物 > 小学校体育(保健) > 体ほぐしの新たな可能性
上の枠

小学校体育(保健)

掲載日:平成25年7月24日

3・4年 体ほぐしの運動の新たな可能性

~3・4年のリズムダンスとのかかわりを例に~

静岡県菊川市立六郷小学校 堀田高弘

1 体ほぐしの運動の現状

 日常生活において積極的に運動する子どもとそうでない子どもとに分かれているのではないかということなどから、運動することの本質を味わわせようといわゆる「体ほぐし」が導入された。しかし、「体ほぐし」が単発的・断片的に扱われていることが多い。

2 リズムダンスとの関連

(1)リズムダンスにおける子どもたちに身に付けさせたい技能

 3・4年におけるリズムダンスでは、「軽快なリズムに乗って全身で踊ること」を目指す。体の各部分でリズムをとったり、体幹部(おへそ)を中心にリズムに乗ったりして、全身で踊ること目指す。しかし、具体的にどのような動きを身に付けさせればいいのかイメージがわかない。
 表現運動における子どもたちに身に付けさせたい動きとは、速い遅いといった時間的な変化がある動き、上下・前後・左右といった空間的な変化のある動き、そして体のいろいろな部位を使ったりねじったりするなどといった動きである。さらにそれらの動きを仲間とシンクロさせたり、クロスさせたりするようにしたい。

(2)恥ずかしい? 動き方がわからない?

 いきなり曲を流して、「さあ、踊りましょう。」と言っても子どもはなかなか踊ろうとしない。
 子どもたちは、音楽に合わせて踊ったり、何かのまねを全身の動きで表したりすることがあまりない。だから、恥ずかしいという気持ちが生じるとともに、どう動けばいいのかもわからないのである。

(3)ではどうするか・・・

 恥ずかしさをなくすことと動き方を教えることである。そこで、リズムダンスにつながる「体ほぐし」を取り入れてみる。「体ほぐし」により子どもたちの心と体を解放させるとともに、さらに表現運動の基礎的な動きができるような手がかりを与えていく。
 具体的な実践例は以下のとおりである。

学習活動 ☆まねっこ遊びをする。
ねらい

○抵抗なく体の動きで表現することができる。
○いろいろな表現の仕方があることに気づく。

  • ウサギやカエルなどといった子どもたちにとって身近な動物を取り上げる。
  • ヘビやソフトクリームなどを取り上げ、動きに広がりをもたせる。

学習活動 ☆自分で考えたポーズでじゃんけんをする。
ねらい

○自分で考えた動きで表現することを楽しむ。
○体を大きく使って表現すことができる。

  • 大きなポーズをとるように言葉がけをする。
  • 「○○さんのチョキは体をひねっていて工夫があるよ。」など、子どものよい動きを褒め、全体に広げる。
  • 何がよいのかを子どもたちに明確に伝える。

学習活動

☆音に合わせて走り回ったり、みんなでポーズをとったりする。

タッタッタッタッ・・・タン(1)

タッタッタッタッ・・・タン(2)

タッタッタッタッ・・・タン(3)

ねらい

○静と動、群を意識しながら表現することができる。

  • タン(1)~(3)に高い動き、低い動き、中間の動きや、前向き、後ろ向き、横向きの動きを入れるなど伝え、いろいろな動きができるようにさせる。
  • 子どもたちが動きを考えやすいようにスポーツ(異種目でつなげる場合・他種目でつなげる場合)や忍者などといったテーマを設ける。

<リズムダンスへの展開>
学習活動 ☆教師の振り付けに合わせて踊る。
ねらい

○提示された振り付けで楽しく踊る。

  • 途中、自分で動きを考える場面を入れる。考えやすいように、動物やスポーツなどこれまで扱ってきたことを中心にテーマを設ける。

学習活動 ☆自分や友だちが考えた振り付けで踊る。
ねらい

○自分たちで考えた振り付けで踊ることを楽しむ。

○いろいろな動き方があることを知る。

  • 左右、前後、上下と対称となる動きを、「8・8・4・4・2・2・1・1・1・1」のリズムに合わせて踊る。
  • グループで輪になって一人一人が順番に踊り、他の子どもはその動きに合わせる。

学習活動 ☆自分で考えた振り付けを入れて踊る。
ねらい

○自分で考えた振り付けを入れて踊る。

  • 基本的に振り付けを提示するが、即興で踊る場面を入れる。

(4)子どもたちの表れ

 新しい学校への着任早々の体育授業であったため、子どもたちは表情も動きもとても硬かったが、「体ほぐし」を取り入れることによって、子どもたちの緊張感は和らいでいった。
 しかし、動きが単調で音楽を無視している姿も見受けられた。技能の向上に伴い、その運動に対する楽しさも深まるということから考えると、このような子どもの姿は改善させたい。そこで、いろいろな動きを教師が示したり、よい動きが見られたら褒め、そして全体に広げたりしていった。また、何より音楽に合わせて体を動かすことが楽しいと感じることを目指すようにさせた。
 このように「体ほぐし」を取り入れ、「気付き、調整、交流」から段階的に表現運動についての技能に関する指導を行うことにより、その後のリズムダンスの学習において子どもたちは多彩な動きを交えながら全身で踊ることができた。子どもたちの表情はとてもいきいきしていた。

3 表現運動以外の領域との関連

 例えば、中学校の球技においてみんなが楽しめるためにルールを工夫するといった学習場面がある。老若男女、障害の有無に関係なく、みんなでゲームを楽しむことは大切なことであり、生涯スポーツの観点に立てばとても大切な力である。しかし、ルールが変わればそれに伴って技術も変わる。そうなれば、種目概念も崩れ、何のスポーツをやっているのかわからなくなってしまう。
 ボール運動や球技は、自分たちを既存のスポーツに合わせる学習が多く、誰もが楽しめるようにすることは簡単ではない。そもそも競技としてのバレーボールやサッカーなどは、そのような目的でつくられたものではない。
 したがって、老若男女、障害の有無に関係なく、みんなでゲームを楽しめることを目指して既存のスポーツのルールを修正・変更するような学習を体ほぐしで扱うことも考えられる。
 「新聞紙」を表現運動で扱う場合と「体ほぐし」で扱う場合があるように、バレーボールやサッカー、バスケットボールをボール運動や球技で扱う場合と「体ほぐし」で扱う場合があるということになる。