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小学校体育(保健)

掲載日:平成25年9月17日

4年 ネット型ゲーム 『みんなでつなげ!ワンバウンドバレーボール』

山形県天童市立荒谷小学校 大場壮一

1 はじめに

 ネット型ゲーム(バレーボール型)の特性として以下の3点を挙げたい。

ボールを手ではじく・打つなど,ボールを保持しない技能が求められる。子どもたちにとっては経験の少ない運動であるため,全員に活躍のチャンスがある。
相手とコートが分かれているために接触が少なく,自分たちの動きを相手から邪魔されることもない。従って,動き方を考えた作戦を立て,互いの動きを見合い,修正を加えていこうとする思考面の高まりが期待できる運動である。
ラリーを続けるためには味方同士でボールをつなぐことが必要になる。仲間と声を掛け合ったりフォローし合ったりすることで,仲間との一体感を味わうことができる運動である。

 中学年における『ゲーム』は,高学年における『ボール運動』への橋渡しである。ボール運動のネット型で必要になる「ボールを手ではじく」「狙って打つ」「ボールへ素早く移動する」「ボールをつなぐ」などの技能を十分に経験させたいと考えて本単元を設定した。

2 ゲームの概要

 はじめに基本のルールを提示し,ゲームを行う中で修正を加えていくことを確認した。

{基本のルール}

  • バドミントンコートを使用。ネットはポールに巻き付け,テニスのような高さに設定。
  • ボールは玩具店で購入したキャンディーボールを使用する。(直径20cm)
  • 1チーム5人編成とする。(本学級は20人なので4チーム)
  • 1セット7点先取の3セットマッチを行う。
  • 1セットは2対2で対戦する。全員1セットは出場する。
  • ワンバウンドで打ち返してもよい。
  • 自陣内で1回ボールをつないでもよい。

3 授業の実際

(1)技能面

①1~3時間(ボール慣れ・試しのゲーム)

  • 2人組で向かい合いボールを打ち合わせた。「ボールと適度な距離感を作ること」や「適度な力でボールを打つこと」ができていないためにラリーが続かない。毎時間のはじめに繰り返し経験させていくことにした。アンダーハンドパスやオーバーハンドパスのやり方を教えた。
  • チーム5人で輪になり何回続けられるかに挑戦した。「同じ人が続けて打ってはいけない。」ことがルール。「10回以上続くようになったらゲームをする。」という目標で繰り返したところ,次第に続くようになってきた。

②4~6時間(「ねらい①」でのゲーム)

  • ボールをつなぐ意識が低く,1回で返球しようとするので,アウトになったりネットに引っかけたりする場面が多い。つないで返した場面をとらえて誉め,全体に価値づけていった。
体育風景①

③7~9時間(「ねらい②」でのゲーム)

  • 少しずつ「ボールをつなぐ」意識が高まってきた。難しいボールを一度で返すのでなく,意図的に上に打ち上げ,次に打つ子が返すといった連係プレーも多く見られるようになった。
  • 惜しいプレーが続き,「あと1回触れたら返せた。」という意見が多くなったので,『自陣内で2回つないでよい』とルールを変更した。最終的に『3回までつないでよい』となり,白熱したラリーが続くようになった。
  • 狙った場所へ強いボールを打ち込むことができるようになってきたので,より楽しいゲームにするために「ネットを高くしたい。」という要望がでた。ネットをポールの半分の高さにはることになった。

④10時間

  • チーム総あたりのリーグ戦を行い,学習のまとめとした。

(2)思考面

  • 上記したルール変更以外にも,子どもたちは「みんながより楽しめるために」という視点でアイディアを出してきた。「1回だけボールをキャッチしてよい」というルール。これは,技能の高まりに伴って必要ないものとなった。「3対3で対戦する」というルール。これはボールに触れない人がいるという理由でもとの2対2に戻った。子どもたちの感情や欲求が素直に現れやすい体育科での話し合いは,思考力を育む上で貴重な時間といえる。
  • チームの作戦を立てさせたところ,「失敗した仲間を責めない」「あきらめない」「声を出して励ます」「精一杯がんばる」のようなものばかりであった。これらもゲームを楽しむ上で大切なことではあるが,個人の技能やチームの戦術に関する作戦を引き出したいと考えた。勝つことが多いAチームの秘密を観察させたところ,「2人の役割分担ができている。」「相手コートの奥の方を狙っている。」「つなぐためにボールを上に上げている。」ことを発見し,次第に動き方の工夫を作戦とするチームが増えていった。

(3)態度面

  • 中学年のこの時期,まだまだ自己中心的な姿が見られる。自分が2回出場したいのに叶わなくて投げやりになる子,自分が出場したセットで大負けして泣き出す子など,トラブルが続出である。また,ゲーム終了時に相手に対する不満を言い合うことで,気まずい雰囲気のまま教室に帰るなどということも体育の時間には起こりやすい。「スポーツマンシップ=勝敗を受け入れること」と子どもたちに話し,具体的にどのような姿がスポーツマンシップといえるのか話し合った。ゲームに参加する上での基本的な態度については早いうちに確立させたい。
体育風景②
  • 仲間のよさに気づくことも本気でゲームに取り組むからこそである。子どもたちの振り返りから,「R君はコートの後ろにいて,どんなボールもとってくれる。」「Nちゃんは誉めるのが上手なので元気が出てくる。」「Y君は絶対にあきらめないでボールを追いかけている。」などの気づきが見られた。単元を通して,学級の絆がいっそう深まったと感じている。

4 今後の課題

  • 体育科の指導内容は,他教科と比較して,担任の力量に任されている部分が大きい。6年間を通した学校としての指導内容を明確にすることが必要なのではないか。本校のネット型ゲームの系統性を確立できるように,今後も検証を重ねていきたい。