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小学校体育(保健)

掲載日:平成26年1月29日
2年 多様な動きをつくる運動遊び
「ボールを遠くに投げよう」

山形県鶴岡市立藤島小学校教諭 岸田孝之

1 はじめに

 平成24年度の全国体力・運動能力調査のソフトボール投げの結果を見ると、昭和60年の調査と比較し、全国的に児童の投力が低下している。その原因の1つとして、ボールなどを「投げる」経験の不足が考えられる。投動作の未習熟により、体をうまく使ってボールを投げることができない。「投げる」という動きは、いくつもの要素が複雑に絡み合って成り立っている。「踏み出し足を軸とした体の鞭運動」と「肩を支点にした腕の鞭運動」が行われることによって、ボールを投げることができる。この複雑さゆえに、簡単に投動作は獲得できるものではなく、多くの時間と経験が必要になる。そのため、低学年のうちから投動作の全体的な動きや基礎となる動きを経験していくことは大切である。しかし短期間で成果が表れるものではないと考えられるので、運動の形態を工夫し、楽しみながら運動意欲を向上させていく必要がある。

2 授業の進め方

① 投動作のモデルを示す
 子どもたちに投動作を身につけさせていくには、モデルとなる姿を示す必要があった。そこで教師がモデルになり、デジカメを使用し投動作を連続写真に収めた。資料として児童に配付し、投動作のポイントを書きこみ、使用した。
② ゲーム形式で学習を進める
 投動作は複雑に動きが絡み合っているため、なかなか成果がでないことに運動意欲が低下してしまうことも考えられる。楽しみながら学習を進めていくことや、結果が目に見えたり、自分の伸びが実感できたりするようにゲーム形式の活動にした。体育館の床に3m、5m、7m、10mとラインを設置し、ポイント制にして遠くに投げることを目的に、ゲームに取り組むことができるようにした。
③ 動きを擬音語や擬態語、掛け声で表現する
 動きを短い言葉(擬音語や擬態語、掛け声)で表現し、動きのイメージを持ちやすくすることで、運動技能の習得につなげ、自らの伸びを実感できるようにする。また、語彙力や表現力、運動に対する知識の不足による、形式的な言語を使っての関わりに陥ることを回避できる。動きを表す言葉を共通理解しておくことで、具体的にアドバイスを送りながら運動でき、技能を向上させていくことができると考えた。

3 授業の実際

(1時間目) 「ボールをなげるうごきをやってみよう」

① 投動作を資料で示し、遠くに投げるためには、4つのポイントがあることを確認した。

【4つのポイント】

ボールは頭より上から投げる(肘が下がらない)
上半身をひねりながら投げる(腰の回転)
投げる方向に目線を付ける
投げた後、軸になった足を前方に持ってくる(体のひねりにつながる)

② 投動作に擬音語や擬態語、掛け声を合わせながら、正しいフォームに近づけるようにしていった。

「よこをむいて」
 
→1本の線を両足でまたぐ。
「顔は前」
 
→投げる方向を向く。
「へんなおじさん」
 
→「変なおじさん」のポーズ。ボールを持った手を後ろに引き、もう一方の手を前に突き出す。
「おすもうさんになって、どーす、こい」
 
→ボールを持った手と反対の足を「どーす」の掛け声で引き上げ、「こい」の掛け声で足を踏み出しながらボールを投げる
「トン」
 
→「トン」の掛け声で、ボールを持った手と同じ足を前に出してきて付く。
よこをむいて 顔は前 顔は前~へんなおじさん へんなおじさん おすもうさんになって、どーす、こい1 おすもうさんになって、どーす、こい2 トン

①よこをむいて ②顔は前③「変なおじさん」 ④どーす(おすもうさん)、こい ⑤トン

(2時間目)「ボールを遠くにとばそう」

  • 前時に学習した正しいフォームを意識させボールを遠くに投げる活動を行った。
  • 自分の課題を見つけ、課題修正のために様々な練習の場で課題を克服していけるようにした。
  • 紙鉄砲
  • 跳び縄(半分に切った跳び縄を使って腕の振り練習)
  • 風船たたき(吊るした風船を手で打つ)
  • 鏡(鏡の前でフォームを確かめる)
  • 的当て(壁に的を張り、的めがけてボールを投げる)

(3時間目)「つつなげゲームを楽しもう」

  • 新聞紙で作った筒を投げる活動を行った。
  • 体育館の床にラインを設置した。跳んだ距離によるポイント制として、ゲーム形式の活動を行った。

(4・5時間目)「えんとうゲームを楽しもう」

  • 活動の進め方は、前時と同様。本時からは、筒をボールへ変えてポイント制のゲーム形式で行った。
  • ボールの軌道が低くなってしまう児童が見受けられた。そこで、体育館の壁から紐を張った。ボールが紐の上を通るように投げることを意識させた。紐の上を通過させることができた場合もポイントとしてゲームを行った。
体育授業風景

※体育館に紐を1本張ったことで、児童の投げるボールの軌道は高くなった。また、紐を張る前に4mだった児童が、8mまで距離が飛躍的に伸びた子もおり、子どもたちの自信につながった。

≪引用・参考文献≫

  • 岩田靖(2012)『体育の教材を創る』大修館書店
  • 清水由(2010)『写真でわかる運動と指導のポイント ボール』大修館書店
  • 平塚昭仁(2013)『体育の授業づくり 子どもに人気のある34例』株式会社フォーラム・A