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小学校体育(保健)

掲載日:平成26年2月18日
6年 すべての児童に運動の特性や魅力を味わわせる
   ネット型「バウンドアタックボール」の実践

~ネット型における役割行動を確実に身に付けさせる授業づくりを通して~

川口市立小学校教諭

1 ネット型の魅力とは

 ボール運動で共通した大きな魅力の一つは、いうまでもなく「得点すること」です。ネット型でいえばアタック(スマッシュやボレー)での得点がそれに当てはまります。ならば、アタック技能を高めればよいのかと考えがちですがそうではありません。むしろ、「アタックまで持ちこむためにどのように連携すればよいのか」といった「意図的な連携プレー」を中心に学習することが大切だと考えています。さらに、相手のアタックをレシーブし、自チームのアタックに持ち込むといった「アタックのあるラリーの応酬」もネット型の魅力と捉えました。
 そこで、小学校6年生を対象に、「意図的な連携プレー(本実践では3段攻撃)」を数多く出現させるための「役割行動」を身に付けさせる授業づくりを行うこととしました。そうすれば、アタックのあるラリーの応酬によるゲームが展開され、ネット型の魅力を味わわせることができるであろうと考えました。

2 メインゲームのルール

 ルールが複雑だったり、ゲームを成立させるための技術が子どもたちにとって難しかったりすれば、ボール運動の魅力を味わわせることはできません。そこで、本実践では、信州大学教授 岩田靖先生らが考案した「アタックプレルボール」をメインゲームに採用しました。

図1 コート図

グループボード

図2 主なルール

サーブ......得点したチームのセッター役が両手で下から投げ入れる。
レシーブ...ワンバウンドしたボールをセッターへ弾いてパスする。(基本はアンダーハンド)
セット......ワンバウンドしたボールを真下へたたきつける。
アタック...直上に上がったボールを直接相手コートに返球する。
ノーバウンドで処理してもよい。
必ず一人1回計3回で相手コートに返球する。
プレーが中断するごとに両チームともポジションのローテーションを行う。

3 役割行動を身に付けさせるための手立て

(1)役割行動の明確化

 本実践で身に付けさせる役割行動(=適切な判断に基づいたボール操作及びボールを持たない時の動き)を以下の3点に整理しました。

①基本の役割の動き

 どのようにボールをつなぐと効果的なのかを「ネット際からアタックを打つためにはどのようにボールをつなぐ?」と発問し、考えさせました。

第1触球者は,ボールの正面に入り自コートの中央ライン付近にバウンドさせるようにレシーブする。
第2触球者は,ネット際でボールの真横に入り真下にバウンドさせる。
第3触球者は,ボールの正面から走り込みアタックする。

②定位置に戻る動き

 相手のアタックをレシーブするためには、レシーブ技能を高めるとともにアタックをレシーブしやすいところもまで下がる必要があります。単元前半に学習しました。

レシーバー役2人の定位置を「エンドライン上」とし,自チームの攻撃後は定位置まで戻る。
単元後半は,相手のアタックに応じたレシーブ位置を考えさせる。
  • 強いアタックに対して→さらに下がる。
  • 弱いアタック・フェイントに対して

→少し前 など

③基本の役割が変化した時の動き

 相手からの返球をネット際のセッターへレシーブできれば最高ですが、ゲームの中でそうはいかない場面が出てきます。そういった場面でどのように連携すればよいのか学習しました。

第1触球者のレシーブが乱れた時の動き

  • ボールに近い人が第2触球者となり,真下にたたきつけて,セットする。
  • 第3触球者は,第2触球者に近づき,相手コートに返球する。

セッター役が第1触球者となった時の動き

  • 第1触球者は,真上にレシーブする。
  • ボールに近い人が第2触球者となり,真下にたたきつけて,セットする。
  • 第3触球者は,ボールの正面からアタックを打つ。

(2)役割行動を学ぶ3段アタックタイム

 上記した3つの役割行動を効果的に学習するために、課題ゲーム「3段アタックタイム」を3~6時間目に位置付けました。その際、メインゲームで想定されるいくつかの状況を課題として提示し、メインゲームにつながることを意識させながら取り組みました。

図3 子どもたちへの提示課題と3段アタックタイムのルール

子どもに提示した課題
第3時定位置に戻る動き
第4.5時レシーブが乱れた時の動き
第6時セッター役が第一触球者となった時の動き

3段アタックタイムのルール

○はじめに、「発問-応答」を通して、本時の課題を理解する。

○毎回、兄弟チーム同士で行う。

○相手のアタックからゲームを開始する。

※他は、メインゲームのルールと同じ

(3)学習過程の工夫

図4 学習過程

グループボード

 図4は、本単元の学習過程です。ポイントは4つあります。1つ目は、スキルアップタイム(ボール操作技能を高める時間)の確保です。第2時に十分にボール操作のポイントを共有し、それ以降毎時間帯で位置付けました。2つ目は、単元中盤で「3段アタックタイム→メインゲーム」の授業展開にしたことです。どのように連携すれば効果的なのかを3段アタックタイムで学び、その後のメインゲームで試すという流れにしました。3つ目は、単元後半でメインゲームの時間を多く設けたことです。ネット型はコートが分離されており、ある程度技能が身に付いた段階からはメインゲーム中心の学習が有効であると考えました。4つ目は、単元を通してメインゲームを位置付けたことです。前時までのメインゲームの様子から課題を提示し、メインゲームのどの場面につながっているのかを、子どもたちが意識しやすくできるようにと考えました。

4 結果と考察

 授業が進むにつれ、3段攻撃成功率が向上しました。第10時では、総攻撃回数からの出現率が50.2%となっており、数多く3段攻撃が出現したといえると考えています。ボール操作の技能と基本の役割の動きが身に付いたことが要因と考えられます。

図5 3段攻撃成功率の推移

グループボード

5 まとめ

 子どもたちにとって取り組みやすい教材で学習過程や指導の工夫をすることで、子どもたちが技能の高まりを実感しながら取り組むことができました。また、効果的な連携の仕方を理解することで、アドバイスや励まし合いも活発となりました。単元終盤には、アタックとラリーの応酬が数多く見られ、大変盛り上がる授業となりました。単元後のアンケートでは、クラス全員の子が「バウンドアタックボールが好き」と回答し、すべての子どもがネット型の魅力を味わうことができたと考えています。

 

≪参考文献≫

  • 岩田靖 『体育の教材を創る』大修館書店