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小学校体育(保健)

掲載日:平成26年2月25日
6年 表現運動(リズムダンス) 輪・話・和でダンス!

三重県鈴鹿市立長太(なご)小学校 三浦靖樹

 最近テレビなどを見ると,EXILE や AKB48 などのグループがかっこよく踊っている姿を見かけます。学校でも,子どもたちが,休み時間に友だちとかっこよく踊っているグループの真似をして踊っている姿を見かけたり,家庭で Wii のゲームソフトを使ってダンスを楽しんでいるという話を聞いたりすることがあります。町を歩けば,子ども向けのダンススクールが増えていっている様子もよく見かけますし,ダンススクールに通っている子どもたちも少しずつ増えてきているように感じられます。さらに,中学校や高校ではダンスが必修化され,「ヒップホップ」や「ロックダンス」が体育の教材として認識されるようになってきました。

 小学校ではどうでしょう。多くの学校では,「表現運動」や「ダンス」は運動会で取り組むことはあっても,普段の授業で取り組むことは少ないのではないでしょうか。私も「ダンス」や「表現運動」の実践にはどうしても腰が引けてしまう教員の一人でした。私自身,テレビで見るタレントさんたちのダンスの動きには興味がありましたし,宴会などで踊るのは好きですので,「ダンスの授業をしてみたい」という思いはありました。ところが,授業の進め方がイメージできなかったり,自分自身が上手く踊って見せることができないので難しいと感じてしまったりして,なかなか教材化することができませんでした。また,クラスの中でダンスが得意な子どもたちは生き生きと運動できたとしても5人ほどで,他の子どもたちは,「できない」という思いや恥ずかしさからついていけず,クラス全体が積極的に運動することはできないだろうと思い込んでいました。

 ある日,家族で町を歩いていると,盆踊りが行われていました,妻と子どもが「楽しそうなので踊ってくる」と言い,輪の中へ入っていき,振り付けなどを知っているわけでもないのに,楽しそうに踊っている光景を目にしました。この光景が今回の題材のヒントになりました。盆踊りは,やぐらの上で踊っている人たちがいて,下で踊っている人たちはその動きを見ながら踊ればいいし,自分の好きな動きで踊ってもいいのです。だから,みんなが楽しい雰囲気になり,初めての人でも「踊ってみたい」雰囲気になるのではないか,と私は考えました。そして,この盆踊りのような題材をつくればよいのではないかと考え,盆踊りのようにみんなで「輪」になって踊り,動きについて仲間と「話」し合い,「和」気藹々とした雰囲気で授業を進めていこうと思い「輪・話・和でダンス!」という題材名にしました。

 「輪・話・和でダンス!」は,1チーム7人の4チームに分かれて運動するようにしました。1時間の運動の流れは下の通りです。

創作ステージ(6分)
チャレンジステージ
1グループ4分×4グループ=(16分)
パフォーマンスステージ
1グループ2分程度×4グループ=(8分)

 運動するための音楽は, グループごとに予め選び,選んだ曲に合わせて動きを考え,完成させていくようにしました。そして,子どもたちには下記のようなことも伝えて,授業を進めていきました。

創作ステージでは各グループごとに,今日自分達が運動してみたい動きを自由に考えたり試してみたりする。
チャレンジステージでは,1グループが中央に配置してある中央舞台で,考えた動きを試してみる。このとき,他の3グループは,中央舞台の周りに立ち,中央で運動しているグループの動きに合わせて,運動を楽しむことができる。基本的には中央のグループの真似をすることになるが,即興で自分達で考えた動きで運動してもよい。一つのグループが運動を終えるごとに,他の3つのグループがよい動きを紹介したり,直した方がよいところを伝えたりする。
パフォーマンスステージでは,チャレンジステージの活動でもらった意見を生かして,もう一度中央舞台で運動する。

 準備運動も工夫しました。ダンスの動きに取り入れやすい基本的なステップや腰や腕などの動き,ポージング,グループで組み合わせる動きなどを「カンナムスタイル(PSY)」のリズムに合わせて,毎時間踊るようにしました。

「輪・話・和でダンス!」の場図

「輪・話・和でダンス!」の場図

 ダンスを楽しむために,曲選びは重要です。曲については,私が15曲選んだ中から,各グループごとに1曲を選ぶようにしました。選曲する上で大切にしたことは,

子どもたちが聞いたり,ダンスを見たりしたことがあるなど馴染みがあり,流行している(した)曲
リズムがはっきりしていてステップが踏みやすい曲
リズムの変化があり,ストップモーションなどの動きがイメージしやすい部分がある曲

の3つでした。

 子どもたちが選んだ曲は次の4曲でした。

A グループ...
Born this way(レディガガ)
B グループ...
choo choo train(EXILE)
C グループ...
satisfaction(スキャンダル)
D グループ...
ファッションモンスター ( きゃりーぱみゅぱみゅ )

 指導計画については,子どもたちが1時間1時間の課題意識を持ちやすくし,戸惑うことなく運動に取り組むことができるようにするため,次のように計画(全6時間)を進めるようにしました。

ルールや安全面の約束を知り,試しの運動を行う。(1時間)
動きを工夫して運動を行う。(4時間)
  • ステップの動きを工夫して運動する。
  • 上半身の動きを工夫して運動する。
  • ポージングの動きを工夫して運動する。
  • 組み合わせの動きを工夫して運動する。
学習した動きを生かして,ダンス大会を楽しむ。(1時間)

 上記のように授業を計画し,進めていった結果,ダンスが得意な子もそうでない子も,安心して運動を楽しむ姿が見られました。安心して運動を楽しめた要因としては,

自分たちで選んだ曲で運動できることにより,動きをイメージしやすい,また,動きについてイメージできないところは準備運動の動きをヒントにして踊ることができる。
創作ステージでは同じグループの仲間から,チャレンジステージでは違うグループの仲間から,動きについてよいところや改善した方がよいところについてアドバイスをもらうことができる。
チャレンジステージやパフォーマンスステージで,自分たちが踊るだけでなく他のグループも一緒になって踊ってくれるので,安心感とともに高揚感が湧いてくる。
チャレンジステージで得たアドバイスを生かして工夫した動きをパフォーマンスステージで運動できることにより,1時間の中で動きの高まりを実感することができる。
下半身→上半身→ポージング→組み合わせの動き,のように1時間1時間の学習課題がはっきりしていたことによって,子どもたちがどこの動きを考えたり改善したりすればよいのかや,仲間の動きを見る視点がはっきりしたりしたため,思考を整理して学習を進めることができる。

といった5点が考えられます。


 長太小学校では,

一人一人が楽しめる題材にする。
子どもたちが互いに,関わり合いを生かせるようにする。

の2つを大切にして体育の授業を中心に研修を進めています。この題材の学習を通して,どのような領域の題材でも,子どもたちが「やってみたい」と思う仕掛けや場の工夫,「工夫していきたい」と考えられる課題の設定が大切であることを改めて感じました。みなさんも授業でダンスに取り組んでみてはいかがですか?