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特別支援

掲載日:平成25年11月18日

〔連載〕
運動が苦手な子も,発達が気になる子も
「やったー!」を体感できる体育の授業のために⑩

なわとびの苦手を一気に解消しよう

東京都立港特別支援学校主任教諭 川上康則

 寒い季節になると、多くの小学校でなわとびの指導が始まります。
 狭い空間でもでき、技にさまざまなバリエーションがあるため上達を意識しやすく、さらに、やればすぐに身体が温まるためウオーミングアップにも最適な運動です。しかし、苦手意識をもつ子どもが多い運動としても知られています。
 そこで今回は、短期間で「やったー!跳べた!」と実感できる方法を紹介します。

1.なわを背負うような回し方の子には、「新聞紙」作戦

 なわの回し方がスムーズでない子の中に、なわを背負うような回し方の段階に留まっている子がいます。円を描くような回し方になっていないため、なわに"あそび"部分が生まれてしまいます。その結果、ジャンプをした後になわが足元に到着するので、うまく跳べずに、なわに引っ掛かってしまうような形になります。

 そこで、グリップの先に新聞紙を巻きつけて、柄(え)を長くした状態にしてなわの"あそび"を少なくします。

○第1段階
新聞紙を6枚程度重ね、左右のグリップに輪ゴムで巻きつけます。10回連続で跳べるようになることを目指します。
○第2段階
新聞紙の大きさと枚数を半分に減らします(3枚にし、それぞれ半分の大きさにしてゴムで巻きつけます)。第2段階で10回跳べるようになると、新聞紙を外した状態でも跳べそうな雰囲気になってくるはずです。
第1段階と第2段階の挿絵

 ただし、この段階ではまだ手首を使った回し方はできません。肩から大きく回していたとしても、跳ぶことに成功するほうが重要です。

2.手首を使って回すことが難しい子には、「親指」作戦

 手首を使うことが難しい子は、グリップの握り方に課題がある場合が多いように思います。親指が人さし指にかかってしまい、握り込むような形になっているのです(下図)。これでは、脇をしめることができません。

柄の持ち方

 そこで、脇がしまりやすくなる握り方を教えます。親指をグリップに沿わせるように伸ばし、爪が空を向き続けるように回すと、手首を使って回すことができるようになります(下図)。

改善した柄の持ち方

 脇をしめ、手首を使って回せるようになると、同じリズムでたくさん跳べるようになります。

3.リズムが崩れやすい子には、「裏打ち」作戦

 ジャンプするリズムが一定に保たれていなければ、長く跳び続けることが難しくなってしまいます。跳ぶタイミングのずれを防ぐために、「裏打ち」作戦でリズムを保つ練習を加えてみます。なわとびは、腕・手を振り下ろすときにジャンプをする運動なので、「裏打ち」がスムーズにできるようになると上手になります。

○第1段階:手叩き跳び
ジャンプする間に、身体の正面で手を1回叩く。着地するのと同時に叩いてしまうようだと、「裏打ち」になっていません。連続してできるよう練習してみましょう。
○第2段階:太もも打ち跳び
ジャンプする間に、太ももの外側を「ポン」と1回叩きます。これも第1段階と同様に、着地する前に打ち終わるようにします。
○第3段階:グリップ打ち跳び
両手にグリップ部分(なわを外しておくとよい)を持ち、跳んでいる間にグリップの先端を太ももの外側に「ポン」と1回当てます。

 以上で、短期間で「やったー!跳べた!」と実感できるようになる指導法の紹介は終わりですが、最後にどうしてもお伝えしたいことがあります。それは「料理本のレシピ」のように紹介された方法をなぞるのではなく、その子のつまずきをよく見極めたうえで指導に取り入れていただきたい、ということです。私は、「運動が苦手な子」の一般的な状態をイメージして書いたつもりですが、必ずしも全ての子どもによい結果をもたらすというわけではありません。目の前の子どものつまずきを読み解きながら実践していただくことをお願いしつつ、今回の連載記事が少しでもお役に立てればうれしく思います。

イラスト:立岡 正聡

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