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特別支援

掲載日:平成25年11月27日

〔連載〕
運動が苦手な子も,発達が気になる子も
「やったー!」を体感できる体育の授業のために⑪

アナロゴンの視点をスモールステップに活かし,運動を楽しむ

沖縄県那覇市立城北小学校教諭 小島哲夫

 みなさんはアナロゴンという言葉をご存じですか?
 アナロゴンという言葉が表に出てくることはあまりありませんが,「運動感覚的に類似した動きの例」などといわれ,器械運動の分野などでよく活用されています。例えば,跳び箱などでは腕支持が大切ですが,運動が苦手な子にとっては腕支持の感覚は意識しづらいものです。そこで,「アザラシ歩き(図1)」や「かえる足打ち(図2)」など,腕支持の動きが入った運動を経験することを通して,腕支持の感覚を身に付けていくのです。

≪図1≫ アザラシ歩き
アザラシ歩き
≪図2≫ かえる足打ち
かえる足打ち

 私たちはいろいろな運動を知っていますが,「できる」わけではありません。知識やイメージとしては持っていますが,そこに体の動きをリンクするのはなかなか難しいものです。運動の動きや特性を分析・分解し,アナロゴンの視点を活かして授業を組み立てることで,子どもが楽しく運動することに繋がっていきます。

 例えば,ボール投げではしっかりと手を振ることが大事ですが,そのような感覚を経験することが日常ではあまりありません。そこで,その感覚を体験させるために,ボールを投げる動作と類似した要素を持つ「紙でっぼう」を鳴らす動作(図3)を取り入れます。手首を効かせて勢いよく腕を振らないと「紙でっぼう」は鳴らないので,そこがボール投げに活きてきます。

≪図3≫ 紙でっぽう
紙でっぽう

 また,ボール投げの体重移動(片足に体重をかけて,投げるときにもう一方の足に体重を移動する)も難しいので,アナロゴンではないのですが,「ギーコン・バーコン」と体重移動を模した「オノマトペ」を利用してあげることも有効です。

 アナロゴンもオノマトペも運動を支える感覚を補助してあげるものなので,教師はその運動や特性を理解し,動きをスモールステップでつないでいくことで効果は上がります。
 これは,戦術を学習するときに人数を減らしたり,簡易化したゲームなどを取り入れたりすることも同じ視点だと考えます。運動の特性を味わい,必要な動きを身に付けるために場面を限定することで,動きとイメージを獲得しやすくなるからです。

 子ども自身も無意識のうちにアドバイスの中で使っていたり,動きに取り入れていたりするので,それを意識化させてあげることで,仲間との教え合いに活かすことができます。

 どの単元でも,子どもに身に付けさせたいことと,運動の特性を活かしてどんな動きや戦術を学ぶのかを分析します。一方,苦手な子はどんな動きや感覚がイメージしにくいのかを予想し,常に子どもの状態を把握します。そして,その両者をつなぐためにアナロゴン的視点を活かしたスモールステップで授業を組み立てていくことが大切です。

 「体を動かすのが楽しい」「運動っておもしろい」と感じられるように,日々,アナロゴン的視点で子どもと教材をつなげることが,教師も子どもも体育を楽しめることに繋がると私は考えています。

イラスト:立岡 正聡

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