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教育ジャーナル Vol.3 第4回

学研『教育ジャーナル』は、全国の学校・先生方にお届けしている隔月刊誌です。
Web版は、毎月2回特集記事を公開しています。本誌では、更に充実した内容で様々な記事をご紹介しています。

コロナに負けない! 教師の姿、学校の風景
~学校教育に空白をつくらないために~

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、全国の学校の多くは、過去に例を見ない長期の休業を余儀なくされた。そうした中で学校現場の先生方は、何を考え、子供たちの学びを止めないためにどんな取組をしてきたのか。

第4回 ウイズコロナだから見えるポストコロナ
~ふと気づき、あらためて考え、見つめ直す~

渡辺研 教育ジャーナリスト

 突然の全校一斉休校、しかしそれ以降は、必ずしも全国一律・全校一斉ではない特殊性があった。4月末~5月初めの連休をはさんで、全都道府県に拡大された緊急事態宣言(4月16日~5月14日)。その期間中には全国の学校が一斉休校となったが、それ以外の期間は、4月に新学期が始まった学校もあれば、前年度の途中から時が止まったままの学校もあった。
 それでもどの学校、どの教師にも共通していたのが、休校や在宅勤務の中でも誰も歩みを止めなかったことだ。
 そして今、全国のほとんどの学校が再開された。各学校では、少しでも失われた時間を埋め合わせるべく、先生方の奮闘が続いている。

あのときと状況が似ている

 当たり前の日常が急に途絶えたとき、今まで当たり前だと思ってきたことを、「そもそも」とか「そういえば」と、ふと考える。
 学校で全員そろった授業が再開した。それでも、休校の最中に、必要性を痛感したI‌C‌T環境の整備をぜひ実行し、威力を発揮したZ‌O‌O‌M会議も活用してほしい。
 例えば、教育委員会が主催して学校をつなげば、学校間の実践情報交換はもとより、課題によっては会議や研修も実施できる。移動を伴う会議等を少しでも減らせれば、働き方の改善につながる。オンライン学習会はあの規模でも支障なく実施され、協議も学びも可能だった。しかも、設定した時間内にも完了する。学校には有効なツールになるはずだ。

 今年度は多くの学校で、すでに7週間が削られた。
「年間20%減……」
ふと、平成10年度改訂の学習指導要領を思い浮かべた(下図参照)。

▲平成10年度改訂学習指導要領の主なポイント(文部科学省ホームページより、赤線は編集部)

▲平成10年度改訂学習指導要領の各教科等の授業時数(文部科学省ホームページより)。現行の学習指導要領は、第1学年:850時間、第2学年:910時間、第3学年:980時間、第4学年~第6学年:1015時間。当時は、現行学習指導要領よりも7~8%程度授業時数が少なかった。

 完全週5日制により年間70時間減、それに伴い内容も30%の縮減。「学習指導要領はミニマム」という解釈が明確化され、上積みはOK、各校が自校に合った教育課程を編成する。加えて、総合的な学習の時間が創設され、全体では「ゆとりの中で自ら学び、自ら考える子供を育てよう」というのが趣旨……ピンポイントで今年度につながる様々な要素が含まれているように思った。
 専門家が議論を重ねて大胆な改訂を行った。時間、内容の削減に世間の関心が向いて大騒ぎになったが、本質は「量ではなく質」の改革、チョーク&トーク型授業の改善も求められた。それから20年。教師は地道に研鑽、経験を重ね、“その量でその質”を実現できる力を付けたはずだ。今期、学習指導要領で求められていることも本質は同じ。この条件でも子供たちに資質、能力は育てられる。

緊急時には前例のない発想を

 もう一つ、実用的な取組を思い出した。本誌2018年12月号で、目黒区が取り組む「午前5時間制」を取り上げた。午前中に40分授業を5コマ行うというものだ。
 コロナ下の単位時間や標準時数の取り扱いについては、通知やガイドラインが出されている。学校が工夫するのは、授業コマ数の確保。そのヒントになるかもしれない。
 仕組みはこうだ。1校時8時35分~9時15分→休み時間5分→2校時40分→休み時間5分→3校時40分→中休み20分→4校時40分→休み時間5分→5校時40分。ここまでで12時30分。45分×4コマとほぼ帳尻は合う。
 午後は60分のまとまりとして活動中心の授業を行う。内容によっては、40分+20分として授業と短時間学習を組み合わせる場合もある。ここまでが基本形。
 これをヒントに今年度の特殊性を考えると、午後に40分×2コマを設定することも可能になる(子供の負担にならないように)。
 仕組みにはいろいろなメリットがあるが(例として、45分×8コマの単元を40分×9コマで設定できる)、ここでは省略する。ちなみに、目黒区で最初に取り組まれたのは、「ゆとり」の学習指導要領全面実施の年。非常時対応を考えるときの発想の視点にしていただきたい。
 学校が再開して、教師からもコロナ感染者が出た。少々体調が悪くても、教師は「休むと子供たちや同僚に迷惑が掛かる」と考えがちだ。でも、無理をして出勤するともっと大きな迷惑を掛けることになりかねない。

 どうか、休む勇気を。それもコロナとの闘い。

教育ジャーナル Vol.3

特集

コロナに負けない! 教師の姿、学校の風景

~学校教育に空白をつくらないために~

■ポストコロナ社会の学校教育を考
 える

■あらためて、学校中でスタートカ
 リキュラム

■本郷台小学校、6月後半の2週間

■ウイズコロナだから見えるポスト
 コロナ

教育ジャーナル Vol.2

アンケート特集

子供たちがいない学校で、何を思いましたか?

■2020年3月に感じたこと考えたこと
 ・子供なりの心構えを持たせた
 ・学校の業務改善のきっかけに

■校長をやっていてよかった~この
 1年の感激~

 本欄では、最新号(Vol.3)及びその前号(Vol.2)の新型コロナウイルス感染拡大が学校に及ぼした影響に対する学校現場の対応に関わる記事を集め、再構成して紹介します。
  4回に渡る連載の最終回は、ウイズコロナ、ポストコロナの教育を充実するための方策について、過去の経験に学びます。

バックナンバー

コロナに負けない! 教師の姿、学校の風景

~学校教育に空白をつくらないために~

8月7日 第1回 突然の一斉休校要請~学校現場の思い~
8月24日 第2回 長期休業を学校の業務改善のきっかけに
9月1日 第3回 ポストコロナ社会の学校教育を考える
9月14日 第4回 ウイズコロナだから見えるポストコロナ

あかはなそえじ先生の「ひとりじゃないよ」 特別編

10月6日 ケアする人のケア ~教師自身のケアはどうするの?~

コロナ禍を 行事のねらい再確認の好機に

~コロナに負けない―ピンチをチャンスに~

10月19日 第1回 いつもとは違う行事の風景
11月2日 第2回 行事中止の代わりに実施したこと
11月17日 第3回 行事見直しを通じて気づいたこと