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教育ジャーナル 新学習指導要領での学び 1

学研『教育ジャーナル』は、全国の学校・先生方にお届けしている隔月刊誌です。
Web版は、毎月2回本誌から記事をピックアップして公開しています。本誌には、更に多様な記事を掲載しています。

新学習指導要領での学び 1

 新学習指導要領のもとでの学びについての記事を不定期のシリーズ記事として掲載していきます。第1回目の今回は、新学習指導要領において「学びの基盤となる力」と位置づけられ、GIGAスクール構想により整備されたICT環境を有効に活用するためにも重要な情報活用能力の育成について、東北大学の堀田龍也教授に伺いました。
(インタビュー、構成/ライター 長井寛)

学びの基盤となる力「情報活用能力」を育む

堀田龍也 東北大学大学院情報科学研究科教授

GIGAスクールで変わる学び

 児童生徒一人1台のPCや高速ネットワーク、クラウドといったGIGAスクールの整備が急ピッチで進んでいます。GIGAスクールでのICT活用は、今までのICT活用と大きく異なります。
 子供たちは、ICTを様々な教科で日常的に使うようになります。すると、学び方も変わります。クラウドを用いて子供同士で情報を共有し、協働的に学ぶことができますし、デジタル教科書や様々な教材を必要に応じて児童生徒自身が選択して使うこともできるようになります。
 そうした環境においては、課題に向けての取組方を先生が指示するのではなく、自分で課題を見つけて、ICTを使って主体的に課題解決に取り組むようになります。そして、我々大人が仕事や生活を便利にする道具としてICTを使いこなしているのと同じように、子供たちにもICTを学習の道具として使いこなす力を育むことが期待されています。

情報活用能力の育成が不可欠

 せっかくGIGAスクールの環境を整備しても、ICTを操作するスキルや、情報を収集、整理、発信するなど情報を活用していく力、すなわち「情報活用能力」を子供たちが持っていなければ、ICTを学習の道具としてうまく使うことができません。そうなると、教科や単元のねらいに迫ることができず、新学習指導要領が求める資質・能力を育成することができなくなってしまいます。
 さらに、子供たちの将来にも影響を及ぼします。今後、デジタルトランスフォーメーション(デジタル技術による変革)が進み、society5.0 と呼ばれる新たな社会が到来するといわれています。そうした社会においては、未知の事態に対して、たくさんの人々と協力しながら解決策を模索し、実行していかなければなりません。新型コロナウイルスへの対応がまさにそうでした。このような社会でよりよく生きていくために、情報活用能力が不可欠なのです。
 だから、新学習指導要領において、それを「学びの基盤となる力」と位置づけたのです。各教科の教科書も、ICT環境が整備され、子供たちが情報活用能力を持っていることが前提となってきています。
 GIGAスクールの環境整備は多くの自治体で今年度内に完了します。この環境を効果的に活用し、日々の授業を実り多きものにして学びを深めるために、そして、子供たちの未来を切りひらく力を育むために、先生方には、情報活用能力の育成に積極的に取り組んでいただきたいと思います。

情報活用能力を育むためのテキスト

 情報活用能力は教科ではないため、教科書がありません。どのような情報活用能力を、いつ、どのように育めばいいのかと、悩んでいる声も聞こえてきます。そこで私たちは、情報活用能力を育むための児童向け副教材「私たちと情報」を制作しています。
 本教材は、「情報活用スキル編」と「情報社会探究編」の2冊に分かれています。「情報活用スキル編」では、学習に必要な情報活用のスキルを身につけるための学習活動を掲載しました。「情報社会探究編」は、身につけたスキルを組み合わせて使い、社会の様々な問題を解決するプロセスを学びます。
 情報活用能力は、一度や二度学んだだけで、身につくものではありません。計画的に日常的にスキルを身につける活動を行いつつ、身につけたスキルを活用する機会も与える。この繰り返しにより、目的に応じてそれを発揮できるようになっていくのです。
 こうした力は、これからの社会を生きていく全ての子供たちに必要な力です。ですから、ICTが得意な先生も苦手な先生も、全ての先生が指導していかなければなりません。その一助として、「私たちと情報」をご活用いただければと思います。

「私たちと情報」 情報活用スキル編/情報社会探究編

監修:堀田龍也(東北大学)
編集: 高橋純(東京学芸大学)、佐藤正寿(東北学院大学)
    渡邉光浩(鹿児島女子短期大学)、佐藤和紀(信州大学)
価格:各550 円(税込)
B5 判・オールカラー・72 ページ

「私たちと情報」単元一覧

【情報活用スキル編】

単元名
1 写真や動画でさつえいしよう
2 キーボードで入力しよう
3 情報の集め方
4 情報の読み取り方
5 情報の整理の仕方
6 表やグラフを作ろう
7 クラウドを使おう
8 レポートを作ろう
9 プレゼンテーションをしよう
10 SNS の使い方
11 プログラミングをしよう

【情報社会探究編】

単元名
1 生活や社会の中で使われているコンピュータを紹介しよう
2 情報発信の光と影について考えた意見文を書こう
3 情報社会での買い物ルールブックを作ろう
4 情報社会における権利についてプレゼンしよう
5 自分たちの学校の課題を情報技術で解決しよう

※表紙デザインや単元名等は変更になることがあります。

私たちと情報のチラシダウンロード

教育ジャーナル Vol.5

特集

こんなときでも、授業改善も行事も研修も…あゆみを止めない

~新潟市立白新中学校“2020年度”の取組~

Ⅰ.“2020年度”の学校経営~校長の
  判断

Ⅱ.授業づくり~生徒諸君と教師

Ⅲ.演劇発表会~生徒諸君

Ⅳ.研修「自ら主体的に取り組む」
  ~教師たち

第2特集

中学校部活動にどんな効果がもたらされるのだろう

~静岡市立中学校部活動ガイドラインから考える外部顧問の活用~

教育課程外でも学校教育の一環

いきいき3視点

部活動指導員の制度化

負担軽減、時間にも少しゆとり

市全体で子供たちを育てる

ほか

今後の予定

1月12日 GIGAスクール環境活用を日常化するために

※次回のタイトルは変更になることがあります。ご了承ください。

バックナンバー

コロナに負けない! 教師の姿、学校の風景

~学校教育に空白をつくらないために~

8月7日 第1回 突然の一斉休校要請~学校現場の思い~
8月24日 第2回 長期休業を学校の業務改善のきっかけに
9月1日 第3回 ポストコロナ社会の学校教育を考える
9月14日 第4回 ウイズコロナだから見えるポストコロナ

あかはなそえじ先生の「ひとりじゃないよ」 特別編

10月6日 ケアする人のケア ~教師自身のケアはどうするの?~

コロナ禍を 行事のねらい再確認の好機に

~コロナに負けない―ピンチをチャンスに~

10月19日 第1回 いつもとは違う行事の風景
11月2日 第2回 行事中止の代わりに実施したこと
11月17日 第3回 行事見直しを通じて気づいたこと

霞が関発! NEWS FLASH

12月7日 第菅内閣誕生で「教育デジタル化」急浮上

新学習指導要領での学び 1

12月21日 学びの基盤となる力「情報活用能力」を育む

3ステップでタブレット活用を日常化

1月12日 GIGA スクールで整備されたタブレットを使いこなす!