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教育ジャーナル

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霞が関発! NEWS FLASH

 学級担任や部活動の顧問など正規教員と同じような仕事をしながら、有期雇用という不安定な立場で働く臨時教員が公立小中学校で増えている。文部科学省の調査では、2020年度は4万3900人(産休・育休の代替教員を除く)で、08年度(3万5374人)と比べると24%も増加していた。専門家からは、子供たちを継続的に指導できないなど教育上の悪影響を指摘する声も上がっている。

増加する公立小中の臨時教員
~今や定数の13人に1人~

大久保 昂 毎日新聞社記者

不安定な有期雇用

 文科省によると、一定以上の教育水準を保つために義務標準法によって定められている教員数(教員定数)は今年度58万3488人だ。このうち臨時教員は7・5%を占めており、13人に1人という計算になる。
 正規教員は大学で教員免許を取得した後、都道府県や政令市の教育委員会の教員採用試験に合格した人たちだ。これに対し、臨時教員は教員免許を持っているが採用試験は通過していない人が多く、契約期間が最長1年の「臨時的任用教員」と、複数年の契約を結ぶことができる「任期付き教員」がいる。給与水準は正規教員の6~8割程度とされる。翌年度も契約できる保証はなく、契約できたとしても勤務校が変わる場合が多い。
 臨時教員への依存度は都道府県で差がある。教員定数に占める割合が高いのは、沖縄県16・4%、奈良県15・4%、宮崎県11・8%──などとなっている。教員採用試験で不合格となった受験者に対し、臨時教員として教壇に立って経験を積むよう勧めている教育委員会も少なくない。

正規採用を控える教委も

 公立小中学校の教員の人事権を持つ都道府県や政令市の教育委員会は、どうして臨時教員に頼るのか。教員定数に対する臨時教員の割合が最も高い沖縄県教委の担当者は「臨時教員に依存する現状を良いとは思っていない。ただ、正規教員を増やしたくてもなかなか増やせない」と事情を明かす。
 教員定数は主に児童・生徒数に応じて決まる。沖縄県は合計特殊出生率が1・82と都道府県の中で突出して高く、子供の数が減っていない中で、全国と同様に「団塊の世代」を中心とした教員の大量退職が進む。さらに、県独自に特別支援教育の充実や小中学校の少人数学級化を進めており、教員の需要は高まっている。
 しかし、県教委によると、教員採用数を一気に増やした場合、倍率が下がって質の担保が難しくなり、新人教員に課す研修の受け入れ態勢も整わないという。担当者は「採用を一気に増やすのではなく、ある程度平準化したい。将来的には正規の比率を全国平均(20年度は92・8%)レベルに引き上げたい」と話す。
 臨時教員の割合が全国で2番目に高い奈良県も、大量退職分を一気に埋めた場合のデメリットを避けるため「採用の平準化」を進めている点は沖縄県と同じだが、「少子化」も理由に挙げる。沖縄県とは違い、子供の数が減っており、今後もこの傾向が続くとみられる。教員定数も当然減少が見込まれるため、「正規教員を採り過ぎると後々しんどくなる」(県教委の担当者)。直近で必要となる教員を全て正規採用で賄った場合、将来的に過剰な教員を抱えるという懸念があるのだ。
 自治体が正規採用を絞る背景には、国の教員定数の考え方が変化したこともあるとみられる。05年度までは、文科省が数年~十数年先まで見据えた中期計画を立てて教員数を決めていたが、06年度以降は財務省が財政難を理由に計画を認めず、毎年予算折衝によって翌年度に教員を増やすかどうか決まる。
 そのため、自治体は数年先に必要となる教員数の予測が難しくなり、正規教員を抱えづらくなった。雇用の「調整弁」として臨時教員が使われてきたというわけだ。

子供たちのデメリットも

 義務教育の現場は、臨時教員以外にもたくさんの有期雇用の先生によって支えられている。特定の授業だけをパートタイムで受け持つ「非常勤講師」、定年退職後も教壇に立つ「再任用教員」、産休・育休の代替教員──などだ。こうした先生たちは、正規教員と対比させる形で「非正規教員」という総称でくくられることが多い。全体の規模を示す公式データはないが、全国の教職員や学者らで構成された団体の積算によると、19年度は10万7638人と、07年度(6万3494人)の約1・7倍に増えていた。
 非正規教員の増加について専門家からは、教員の勤務校が頻繁に変わることを念頭に、「子供たちにとって、頼りにしていた先生がすぐにいなくなるのは望ましくない」と教育上の弊害を懸念する声が上がる。また、「教務主任や学年主任といった校内の中心的な役割を非正規の先生に委ねるのは難しいため、正規教員の負担の増加につながっている」との指摘も出ている。

教育ジャーナル Vol.7

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