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教育ジャーナル

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コロナ禍の学校教育
(令和3年度全国学力・学習状況調査より)

 今回は、学力調査で小中学校ともに最上位のスコアを示した石川県の学習状況調査の結果に注目してみた。

それでも、授業改善は着々と進められていた!(3)
~石川県の児童生徒の学力を支えるものは?~

渡辺 研 教育ジャーナリスト

自分に合った授業、教材

 今年度は、学力のところに変化があったので、数年ぶりに「〇〇県の学力の秘密」を記事にしてみた。取り上げたのは石川県。石川県の小学生も中学生も全教科で全国(指定都市も含む)最上位のスコア(平均正答率)を示した。そこにはどんな指導があったのか、子供たちはどんな姿を見せてくれたのか。質問紙の肯定の回答を目安に探っていく。

【学校の特徴的な取組】
 小学校、中学校とも“他を圧倒している”のが、全国学力・学習状況調査(の結果)の活用だ。結果を「自校の課題の把握」や「授業改善に活用」はもちろん、「学習指導要領の理解を深めるために出題意図の確認」など、質問に挙げられている取組のほぼ全てを徹底し、全学年で共有している。
 校内テストの作問の参考にもされているが、子供たちも「テストで問われる(=日々の授業で重視される)のは断片的な知識の量ではない」ことが理解できるだろう。
 全体での共有につながる研修も熱心だ。事例研究など実践的な研修に力を入れる。ICT関係の研修もかなり行われている(技術的なサポート体制も整っている)。
 授業改善では、「発言や活動を確保」「課題を設定し、グループで話し合い、まとめ、表現する活動」が徹底されている。それは学級会にも生かされているが、小学校では考え、話し合う道徳が実践されている。
 評価では、「児童生徒のよい点、改善点を積極的に評価、学習の意義や価値が実感できる」ように努めている。
 国語の指導は「書く」ことを重視、英語では小・中とも「対話的な活動」をよく行っている。家庭学習にも力が入れられている。

【子供たちの姿】
「自分でやると決めたことはやり遂げる」「難しいことでも失敗を恐れず挑戦する」と小・中学生とも強い気持ちを持っている。中学生になると「人の役に立ちたい」という思いや「自分の思いを言葉で表す」「友達と協力するのは楽しい」という態度も育つ。
 やはり学力上位県の秋田県や福井県の子供たちにも見られたように、「地域の行事に参加」している。中学生は「地域や社会をよくするには何をすべきか考える」ようになる。
 こうした思いや態度は学力と無関係ではないだろう。

 教師が頑張る授業改善には「各教科などで学んだことを生かしながら新しいものを作り出す活動を行った」と「自分に合った教え方、教材になっていた」を小学生も中学生も評価している(他の項目は全国並み)。また、総合では「自分で課題を立てて、情報を集め、発表する」活動を行っているとはっきりと答えており、学校でも、探究の過程を意識した指導を行っている。当然、学級会も活発。
 やや強引だが、子供たちが学ぶことを楽しんでいるようにも思える。授業改善をここにもってこられたら、しめたものだ。
 国語も算数・数学も「大切」で「授業の内容はよく分かる」といい。算数・数学はどの項目も意欲的だ。学力の結果もうなずける。英語も「英語で自分の気持ちを伝え合える」という。
 学校以外での勉強時間は、小学生の48%、中学生の43%が「1~2時間」で、全国と比べてむしろ少ない。それでこの学力を支えているのは、教師の授業の質なのか、子供たちの学びの態度なのか。残念ながら、調査結果の数値だけではそこまではわからない。

 コロナが本当に落ち着き、取材も可能になってきたら、石川県を訪ねて、授業や子供たちの様子をじっくり参観させていただきたい。楽しみにしておこう。

教育ジャーナル Vol.10

特集

■幼児教育と学校

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