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教育ジャーナル

学研『教育ジャーナル』は、全国の学校・先生方にお届けしている隔月刊誌です。
Web版は、毎月2回本誌から記事をピックアップして公開しています。本誌には、更に多様な記事を掲載しています。

3ステップでタブレット活用を日常化

 普通教室へのタブレットパソコン(以下、タブレット)の導入が進んでいる。GIGAスクール構想では、児童生徒一人1台のタブレットとネットワーク環境を整えようとしている。せっかく整備される一人1台のタブレットパソコンだから、是非とも日常的に活用していただきたい。そのためにどのように活用を進めていけばいいのか。その3ステップについて、紹介する。

GIGAスクールで整備されたタブレットを使いこなす!

國眼厚志 兵庫県朝来市立竹田小学校教諭

教室にタブレットがやってきた!

 私の勤務する学校では、それ以前に文部科学省が進めていた「3クラスに1クラス分の教室タブレットの整備」に向け、4年前から機種選定や導入後の研修の準備を重ねていた。児童数149人の本校に整備された66台のiPadは、かなり使い勝手がよかった。
 しかし、それをしっかり使える教員はある程度に限られ、使うクラスはずっと使うが、そうでないクラスは使わないままという状況が生じた。これは、多かれ少なかれ、どの学校にも共通するものであろう。
 ところが、今度は一人1台が必ずあるわけで、使わない教員の言い訳は通じなくなる。そうならないための研修を3年くらいかけてやろうと思っていたら、コロナ禍により前倒しで、今年度から来年度には機器が「降りて」くる。勤務校でも3月には入るらしい。それなりの対応が必要だ。
 GIGAスクール構想には「希望しない自治体は、もう子供がいなくなってもいいのですね」と言われる恐怖もあるようだ。つまり「タブレットを授業で使わないのなら、保護者は他市へ転居しますよ」ということなのである。そこまでのことはないにせよ、「端末が足りないので授業ができません」は、明らかに通用しなくなる。
 そこで、本当に機械が苦手な先生でも、日常的にタブレットを活用することができるようになるための現実的な3ステップを提案したい。
「①まずできること」から始め、とりあえずタブレットパソコンを使った授業をしてみる。その上で①を行いつつも「②次にやること」も同時に行い、力をためておく。そして、最終的に「③最後に目指すこと」にまで持っていくというものだ。
 ふだん使いを順調に進めることを計画的に行わない限り、時代に置いていかれるだけでなく、学校からも、保護者からも、そして地域からも取り残されてしまうのである。
 ただし、私も従来のチョークの授業を否定することは全くない。毎年、新任を迎えるが、彼らにいきなりタブレットで授業をするようには絶対に差し向けない。チョークを使ってきれいで丁寧な板書をしたり、模造紙に絵を描いたり、短冊で段落を分けることなど、基本としてすべきことは習うことが望ましい。その上で「タブレットも使える」先生になってほしいのである。

使いこなすための3つのステップ

「①まずできること」とは、タブレットでの大型テレビもしくはプロジェクターへの投影である。
「②次にやること」は、二つ。一人1台を持ち、練習問題等の学習に臨むこと。もう一つはプレゼンテーションを作ることである。
「③最後に目指すこと」は、学び合いのツールとして活用することである。

タブレットを使いこなすための3つのステップ

1.まずできること=タブレットからの投影

 タブレットを用いた授業で最も簡単なのは、タブレットの画面を大きく投影することである。以前はプロジェクターが多かったが、今は大型テレビへの投影もよく使われる。タブレットにデジタル教科書が入っていればこの投影は抜群に効果を発揮する(無ければ教科書を写真に撮ればよい)。黒板に書いていた本文を大きく見せられるからだ。国語でも算数でも社会でも毎日のように使える。
 この機能は機械が苦手な先生でもすぐに使える。更に便利なのはノートやプリントの投影である。子供と同じノートに書き、タブレットで上から写すのである。効果は抜群。時間も大きく短縮できる。
 接続は簡単。ケーブルやアダプターを使えばすぐにできる。アップルTVのようなセットトップボックスだと無線でつながるので取り回しも楽である。これが一番簡単で効果のある「できること」だ。タブレットスタンドの活用で本体を固定して使うと更に便利である。

▲タブレットでノートを写し、テレビに投影する

2.次にやること=問題練習とプレゼン作成

 次にやることは一人1台を使わせることである。これはハードルが高い、と思うことだろう。確かに全員が端末を持ち、一斉に稼働させることを考えると不安な教員は多いだろう。でもそういう使い方をする場合は、算数や国語の問題アプリを導入しているであろう。いろいろなアプリがあるが、どの製品もなかなかよくできていて、子供たちは1時間でもずっとやっていられる。ログインして個々の履歴が残るシステムのものもある(高価であるがこの形が望ましい)。これなら個々の速さやレベルに応じて問題を出すので個別学習には最適である。
 私は算数でプリントを出し、採点し、どんどん進めさせる。そのとき、終わった子にはタブレットを出してログインし、問題をさせる。喜々として取り組んでいる。早くできた子も次にすることがあるので無駄な時間がない。是非、このログインするタイプのアプリ(ウェブタイプが多い)をお薦めする。
 もう一つは、プレゼンの作成である。プレゼンといえばパワポを想像されるが、iPad用にはE-REPORTというアプリがあり、1年生でもすぐに使うことができる。写真や動画を撮ってすぐに貼り付け、文字もかなで入れられる。ページをめくるように「進む・戻る」ができ、一度教えると、大人よりも簡単に使いこなす。個々でプレゼン能力をつけることもできるが、同時に協働学習としてグループでの学びにも最適である。

▲学習アプリでどんどん進める

▲自分でプレゼンを作成し、発表する

3.最後に目指すこと=学び合い

①では、とりあえず先生が使うことを目指す。
②で、子供がそれぞれ使うことを目指す。
③では、個々のタブレットを先生がオーガナイズして授業を進める形になってほしいと思う。
 これには授業支援システム(無料のものもある)が必要である。個々の端末は投影したい子供が操作し、大型テレビなどに映し出すことができるが、支援システムにはどの端末を映し出すか先生が決め、操作するのである。先生がオーガナイズすることで、それぞれの画面を大きく前に映し出し、子供が自席ですぐにその内容について発表できる形をとる。さらに、グループで使う場合も、発表までの過程をモニタリングし、指示や助言も出す。こうしてタブレット端末を介して各自の学び合いに発展することを一番のねらいとしたい。もちろんすぐにはできないので、それまでに①や②でどんどん使いこなすことが大切なのである。

▲授業支援システムを使い、自席で発表する

教育ジャーナル Vol.5

特集

こんなときでも、授業改善も行事も研修も…あゆみを止めない

~新潟市立白新中学校“2020年度”の取組~

Ⅰ.“2020年度”の学校経営~校長の
  判断

Ⅱ.授業づくり~生徒諸君と教師

Ⅲ.演劇発表会~生徒諸君

Ⅳ.研修「自ら主体的に取り組む」
  ~教師たち

第2特集

中学校部活動にどんな効果がもたらされるのだろう

~静岡市立中学校部活動ガイドラインから考える外部顧問の活用~

教育課程外でも学校教育の一環

いきいき3視点

部活動指導員の制度化

負担軽減、時間にも少しゆとり

市全体で子供たちを育てる

ほか

今後の予定

2月8日 小学校35人学級の実現
2月22日 自分とみんなの命を守る力を育む

※次回のタイトルは変更になることがあります。ご了承ください。

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~学校教育に空白をつくらないために~

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10月6日 ケアする人のケア ~教師自身のケアはどうするの?~

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~コロナに負けない―ピンチをチャンスに~

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