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〈座談会〉コロナ禍の学級運営とICT活用 〜後編〜 ②

(2022年2月10日更新)

〈座談会〉
コロナ禍の学級運営とICT活用 〜後編〜 ②
山口大学教育学部附属光中学校 教諭 藤永啓吾
東京都国分寺市立第四小学校 主任教諭 前田良子
東京都足立区立足立小学校 教諭 杉本 遼

試行錯誤を重ねながら
――ICTが教員の業務を軽減する可能性はあると思われますか?

藤永 十年後であれば、あるかもしれません。

杉本 今は、出席簿から授業まで、従来のやり方にICT活用がプラスして組み込まれているので仕事は二倍になっているように感じます。

藤永 GIGAスクール構想によって、従来の仕事に加えてGIGAスクール担当としての仕事も課せられている教員が各学校にいます。各学校で比較的ICTが得意だという人が担当になるわけですが、GIGAスクール担当教員がそれまで抱えていた仕事を、周りの教員たちが引き受けることもあるので、結果として教員たちの仕事量は増えます。世の中では、ICT活用の「長」の部分ばかりが取り上げられていますが、実際の現場はそうではない、ということもご理解いただきたいところです。
とはいえ、ICTをうまく使いこなせたら質の高い業務が実現できるのは確かです。今、私たちは、ICT活用で、どうすれば業務をより効率的に効果的に進められるか、試行錯誤を重ねている最中ということでしょう。

――ICT活用の今後の課題は何でしょう。

藤永 タブレット端末などデジタルツールがもっと身近になることが大事だと思います。今は、とても高価なものという扱いですが、文房具のように学びに欠かせないアイテムとして、もっと手軽に使えるものになる必要があります。そのためには、保険の整備なども必要で、自治体などの予算面の充実が求められます。鉛筆は書くツール、消しゴムは文字を消すツール、端末は、調べるときに必要なツールです。
分からない物事を探すときに、子供たちにも不可欠なツールとして日常的に使えるようにしていくことが大切だと思います。

杉本 現在の教員のICT活用の実態は、従来のやり方に無理矢理組み込もうとしている感じがします。今の世の中に合った制度やシステムになっていくことを期待しています。

藤永 完全に会えなくなったのであればオンラインで会議せざるを得ないでしょうが、今は会えているのですから、その必要がないということでしょう。現時点では、オンラインでなくても事足りる。
ですから、ICTは教員の技量を高める一つの方法として活用を進めていくことになります。とはいえ、デジタルに走りすぎると教員の技量が落ちる懸念は否めません。

杉本 ICTの利点を生かせる場面には積極的に活用して、そこで生まれた時間の余裕を対面で行うことが大事な場面で使いたいです。例えば、AIドリルなどを用いて、個別に課題を進め、教室では、対面でしかできない授業を行う、というような。個別最適化された学びを実現できるように、学校教育に携わる人材を増やす必要があると思います。社会の変化が学校現場に反映されることを願っています。

子供が楽しめる授業づくりを
――今後の道徳科のあり方についてお聞かせください。

藤永 タブレット端末が普及しても、相手を見ながら語り合える道徳授業が大切にされるようになってほしいと思います。タブレットは使えば使うほど端末に目がいきます。道徳はもちろんですが、人間の関わりは、果たしてタブレット経由で全て済ませられるものなのか、と。一人一台の活用は近々実現するでしょうが、それ以上に人を感じる教育ということも求められているのではないかと思います。

前田 私は、ICT活用に取り組み始めてまだ日が浅いので、いろいろな可能性を探っていきたいです。藤永先生がおっしゃるように、人と人とのつながりや関わりを感じながら活用すること、例えば、「いいね」機能などを活用すれば互いの意見を認め合うことができると思います。失敗しながらでも探っていきたい。今までICTはドリル的なイメージがあったのですが、そうではない活用の仕方がこれから出てくると思うので、そうなれば道徳にも生かせると思います。勉強しながら活用していきたいです。

杉本 道徳に関しては、どんな環境になったとしても、子供たちと楽しい授業をしていきたいです。授業をしたときに、子供たちが楽しんで参加できなければ心にも頭にも残らない授業になってしまいます。どんなに優れた指導案や教具を作っても、子供が積極的に参加している姿が実感できないと、教員も楽しいと思えないし、やりがいを感じられません。タブレット端末を使うようになったら、タブレットを介して子供たちが成長する姿を見取る目を教員はもたなければなりません。ここが課題だと思います。
どのような環境になったとしても、授業は教員と子供たちで一緒につくり上げていくという大前提を忘れずに、授業に臨みたいです。

取材・文/岡本侑子 写真/藤田雄二

*実際の座談会は、マスク着用の上、ソーシャルディスタンスをとって行いました。

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