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子どもを運動好きにするために大人が大切にしたいこと

第3回 運動遊びのアイテム② じゃんけんシリーズその2

東京・山梨動きづくり研究会編

(2024.06.04 公開)

思わぬスタート?! じゃんけんかけっこ

○じゃんけんかけっこ
 ①2人組で向かい合う。(立位や座位などを工夫してよい)
 ②じゃんけんをして、”あいこ”になったら、2人とも決められたところ(ゴール)まで走る。

《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
 「どっちが速いかなー?」
《このアイテムのよさやねらい》
 ○速さを競い合う遊びの魅力は、「どちらが勝つかわからない」ワクワク・ドキドキ感を保つこと。
  スタートのタイミングやスタートの姿勢がふだんとは違うことで、子どもたちの中のワクワク・ドキドキ感を
  引き出すことができます。


→こんな発展ができます。
 ○じゃんけんの姿勢のほか、走る以外の動きを2人で考えて行う。
  例:後ろ向き走り、スキップ、ハイハイ など
 ※ほかの組の考えた動きを取り入れてみることもできます。

★プラスワン★ 速さを競うので、はじめのうちは“あいこ”になっていなくても走り出してしまう子どももいます。遊びを重ねていくうちに、早く走り始めたい気持ちを抑え、“あいこ”になるまでしっかりと待ち、気持ちをコントロールできるようにもなっていきます。こうした心の育ちを見ることもできるアイテムです。


勝ったらラッキー! じゃんけん

○勝ったら回転ジャンプじゃんけん
 ①2人組で向かい合って立つ。
 ②じゃんけんをして勝ったほうが、その場で1回転ジャンプをし、
  着地した位置のままで2回目のじゃんけんをする。
 ③5回先に勝ったほうが勝ち。

《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
 「やったあ! ラッキー!」
《このアイテムのよさやねらい》
 ○運動能力の高低でなく、「運」でジャンプするしないかが決まるようにできる。
 ○1回転ジャンプをして少しずつ位置がずれていくのもポイント。着地が遠くならないように調節して動くよう
  になったり、もし遠くなってしまえばじゃんけんのために大きな声を出す必要が生まれたりします。
→こんな発展ができます。
 ○1回転ジャンプ以外に、いろいろな軸で回転することを2人で考えて行う。
   例:座ってお尻を軸に回る。寝転んで背中、おなかを軸に回る。など
 ※ほかの組の考えた動きを取り入れてみることもできます。

★プラスワン★ 日常生活の中では、「回転する」ことをあまり経験しません。さまざまな回転の動きで、経験したことのない体の使い方が広がっていきます。オリンピック冬季大会が開催されていた頃にこのアイテムを実践したところ、「見て! 〇〇選手!」と言いながらきれいな回転ジャンプをする子どもが現れ、それを見た周りの子どもたちも、フィギュアスケーターになりきって回転ジャンプを楽しんで遊んでいました。


動物になってじゃんけん

○クマじゃんけん
 ①四つんばいで向き合ってじゃんけんをする。
 ②負けたほうが、手足を力強く動かしながら(指は開く)、勝ったほうの周りを回る。

《子どもを育てる! 魔法のかけ声》
 「クマは強いよ! 音がするくらい、しっかり手足を地面に着こう!」


○ウサギじゃんけん
 ①ウサギの耳のように頭の上につけてしゃがんで向き合い、片手を下ろしてじゃんけんをする。
 ②負けたほうは、一度両手を頭の上に挙げ、しゃがんだままジャンプ→両手をついてジャンプ(足を浮かす)
  →両足をつく(足を引き付ける)。この動作を繰り返しながら、勝ったほうの周りを回る。

《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
 「ウサギは足・手・足の順番で地面につくよ!」
《このアイテムのよさやねらい》
 ○自分の体を思うように動かすことは意外と難しいものです。動物のまねをする楽しさの中で、
  手足を思うように大きく動かすことを身に付けていくことができます。
 ○手足を強く押し付ける(指は開く)、両足でジャンプしてから両手をつく、などは、
  マット運動や跳び箱運動の基礎感覚につながります。


→こんな発展ができます。
 ○ほかの動物になれるかな?
 ※クマやウサギのほかに、どんな動物になれるかな?と問いかけてみる。
  「キリンは?」「トリもいいね」などと、どんどん促していくとよい。


○ワニじゃんけん
 ①四つんばいから肘をまげて、膝をつかないようにして向き合ってじゃんけんをする。
 ②負けたほうが、勝ったほうのおなかの下をくぐる。

《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
 「ぐっと肘を曲げたままワニになってみよう!」
 「もっと低い姿勢でワニになってみよう!」
《このアイテムのよさやねらい》
 ○肩口に体重がかかる感覚になじませることができ、跳び箱を跳び越す際の運動感覚につながります。


→こんな発展ができます。
 ○ワニの口から逃げよう
 「たいへん! もっと大きなワニが来たよ! ガブっと言ったらワニの口が閉まるよ!」と言いながら、
  長座の姿勢で足を上下に開けたり閉じたりする間を、ワニの姿勢で何度も往復して通り抜けるようにする。


★プラスワン★ 動きの精度を高めるために、指導者やプレイリーダーがわざと別の動きを見せることがあります。ウサギの動き(足→手→足の順に接地)の前に、カエルの動き(手をついてしゃがんでから全体でジャンプ)を見せることで、子どもは動きの違いをはっきり認識しやすくなります。
動物じゃんけんは、子ども同士や親子などで想像を広げて楽しんでいくことができます。ぜひ、子ども同士や親子に委ね、遊び(動き)をつくり出す経験を大切にしてください。





Profile ●東京・山梨動きづくり研究会
山梨大学学長中村和彦教授を中心に、東京都と山梨県内の小学校教員が中心となって組織する研究会。
小学校の教員だけでなく、企業、保育士、幼稚園教諭、運動指導関係者などさまざまな方が参加している。
https://ugokizukuri.amebaownd.com