第4回 運動遊びのアイテム③ いろいろな体の感覚を使う運動遊び
東京・山梨動きづくり研究会編
(2024.06.11 公開)
よく見て聞いて すぐ動けるかな?
○「青」「黄」「赤」見て聞いてすぐ動けるかな?
①プレイリーダーが青、黄、赤のいずれかの色を言う。
②色によって異なる動きをする。
【青:両足で前にジャンプ】【黄:両足で後ろにジャンプ】【赤:動かない】
③慣れてきたら色を言うスピードを上げる。
④スピードにも慣れたら、3色以外の色も加える【3色以外:しゃがむ】
《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
「何色にしようかな。よーく聞いてね。」
《このアイテムのよさやねらい》
○プレイリーダーが「あ、あ、あ、あお!」のような言い方で、ワクワク・ドキドキ感を出す
ことができます。
○遊びではあまり使わない聴覚での認知を通して、楽しみながら判断・行動できるようになります。
○身近な環境にある信号機の色を使うことで、なじみやすく、取り組みやすくなります。
○3色以外の色を使うことで、判断基準・材料を容易に増やすことができます。
→こんな発展ができます。
○2人組で手をつないで
「赤」と言われた場合、「2人が動かない」が正解。など
★プラスワン★ プレイリーダーが、青い紙(青と書かれた紙)を示しながら「赤!」と指示してみましょう。声(聴覚)の指示で動くことがわかっていても、つい視覚で動いてしまいがちです。このギャップを楽しむのもよいでしょう。
歩きながら目があった人とタッチ!
○瞬間ペアさがし
①全員で右手を上げて自由に歩く。
②目が合ったら、上げている右手でタッチ。タッチしたら手を下げる。
③歩きながら、次は下げた人同士でタッチ。タッチしたら右手を上げる。
④ ②③を繰り返す。
※こちらの動画には音声はありません。
《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
「タッチした瞬間から去り際(手を放す)まで、目を合わせていようね!」
《このアイテムのよさやねらい》
○タッチしている瞬間や回っている瞬間は目を離しがちです。目を合わせることで、単なるタッチではなく、自分
やお互いの世界を表現する時間(世界)が生まれます。
○自分たちの世界を表現する楽しさを知ることにつながります。
→こんな発展ができます。
○手をつなごう、回ってみよう
タッチだけではなく、手をつないだり、手をつないで回ってみたりする。
○仲間さがし
心の中で「1、2、3」や「グー、チョキ、パー」のどれかを決めて、目が合った人とハイタッチ。「せーの」で
数字の数だけ手をたたいたり、じゃんけんを出したりして、仲間かどうかを確かめる。
★プラスワン★ 大きくハイタッチをしたり、笑顔で行ったりする子が出てきます。積極的に褒め、全員にその方法を共有するとよいでしょう。しっかりアイコンタクトをしながら行うことはとても大切です。
リズムに合わせて動いてみよう
○なべなべそこぬけ
①2人1組になり、「なべなべそこぬけ そこがぬけたらかえりましょ。」で、手をつないだまま背中合わせにな
る。
※手はつないだまま。
②もう一度「なべなべそこぬけ そこがぬけたらかえりましょ。」で、元に戻る。
③慣れてきたら、プレイリーダーの指示で3人に人数を増やして行う。
→3人組を2つ集めて6人組などに発展する。
《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
「手が上がったほうに頭を入れよう。」
「出口を決めてそこから出よう!」※3人組以上の場合。
出口を決めてそこから出るコツをつかめば、人数が増えても同じ行い方でできる。
《このアイテムのよさやねらい》
○単純な動きでも、2人組と3人組ではまったく異なる体の動きになる。
○授業などにおける仲間集めの場面で、2人組と3人組への増やし方をパターン化することができる。
→こんな発展ができます。
○「糸巻きのうた」や「幸せなら手をたたこう」などの童謡や民謡のリズムに乗って、歌に合わせて手をたたいた
り足を踏み鳴らしたり、ジャンプをしたり。手をつないで、人数を変えてなどの工夫で楽しむことができます。
★プラスワン★ なべなべそこぬけは、人数をどのくらいまで増やすかは、実態に応じておまかせです。ただ人数が増えたとき、「走らない」ことをきちんと指導しましょう。手をつないだまま動くため、引っ張られて転ばないように十分に気を付ける必要があります。そのためにも、出口を決めたり、走らないで動くようにしたりすることを、行う前に「話す」ことが大切です。
○右に左に8・4・2・1 なぜだか体が動いちゃう魔法のリズム
①右に両手を伸ばして8回手をたたく。次に左に両手を伸ばして8回手をたたく。
②①の要領で、右で4回左で4回、右で2回左で2回、右で1回左で1回、右で1回左で1回手をたたく。(①~
②で、8・8・4・4・2・2・1・1・1・1のリズムになる)
③①~②をもう一度全員で行ってリズムをつかむ。
④リズムに慣れたら、手をたたく代わりに、左右へのジャンプや屈伸、伸脚などを行い、体全体を動かすようにし
ていく。
《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
「もう手のたたき方を覚えたの? 早いね!」
リズムをつかむことがポイント。その認知を促すかけ声です。
《このアイテムのよさやねらい》
○楽しみながらの準備運動とすることができる。
○動きの自由度が高いので、リズムに慣れたら、子どもと動きを考えながら遊びが広がっていく。
→こんな発展ができます。
○童謡などのリズムで体を動かす。
・「春が来た」などを使い、ペアの足の上を跳び越すなどを繰り返し、4小節目と8小節目では3回ジャンプなど
のように変化をつける。歌詞の「た」など決まった文字の部分で動きに変化をつける。
・「鯉のぼり」などを使い、三拍子のリズムに合わせて腕や脚を閉じたり開いたりする。
など。
★プラスワン★ リズムをつかんでしまったあとは、動きを子どもたちが考えることで「自分でつくり出す」動きになっていきます。「みんなならどう動く?」「みんなならどう遊ぶ?」と問いかけると、大人では思いもつかないユニークなアイデアが出ることもあります。肯定的に受け止め、一緒に運動遊びをつくっていきましょう。
瞬時に! ゆっくり! ぶつからないように!
いろんな動き方で動いてみよう
○クリエイトホール(即興で生まれる変な穴)をくぐり抜けろ!
①2人組になり、ホールをつくる人とくぐる人を決める。
②音楽が鳴っている間、くぐる人は相手の周りを歩く。
③音楽が止まったらホールをつくる人は、体の向きや姿勢を変えてホールをつくり、相手はそのホールを素早くく
ぐる。
4分で役割を交代して行う。人数を増やして(3人組で2人がそれぞれホールをつくり1人がくぐるなど)行うこ
ともできる。
※こちらの動画には音声はありません。
《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
「次はどんな穴かな?」
手や足だけでなく体全体を使っていろいろなホールがつくり出されるように、創造性を刺激していく。
《このアイテムのよさやねらい》
○子どもたちの即興的な遊びを通じて、決断力や発想力を養うことができる。
→こんな発展ができます。
○スローモーション格闘技
2~3人一組になり、動きはすべてスローモーションで行う。音楽が鳴っている間、それぞれがアニメや映画のヒ
ーローを思い浮かべながら攻撃を繰り出し、それをかわしたり、また攻撃したりする動きを入り乱れて行う。攻撃
を受けてしまった動きも面白い。飛び道具系の技も入れると空間を想像することにもつながる。
★プラスワン★ クリエイトホールでは、人数が増えることでさまざまなアイデアに触れることができます。ただ難易度も上がり無理な態勢が生まれたり、導線が錯綜したりするので、上履きなどは脱いでおくようにすると安全にできます。BGMをどんなものにするかで、場の盛り上がりがさまざまになります。子どもたちに人気のアニメやゲームから、懐かしのヒットソングまで、いろいろな選曲をしてみましょう。
○ぐちゃぐちゃウォーキング
①歩く範囲を(コーンで囲むなどして)示し、確認します。
②好き勝手に歩きながら、誰かとぶつかりそうになったらサッとよけて歩き続ける。
《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
「誰かと目を合わせながらよけてみよう!」
視線を合わせながら、ギリギリでよけ合うスリルが遊びをさらに楽しくさせます。運動遊びならではのコミュニケ
ーションです。
《このアイテムのよさやねらい》
○ぶつからないようにするために、相手との「距離感」をつかみ、歩くスピードを調整する必要がある。そのた
め、ボール運動(サッカーやバスケットボールなど)の、ボールを持っていないときの動きの基礎感覚を養うこと
につながる。
→こんな発展ができます。
○スピードアップ&いろいろな歩き方
慣れてきたら、歩くスピードを上げる、手の振り方を変える、スキップをするなど、動きに変化をつける。
★プラスワン★ ぐちゃぐちゃに動いていいはずなのに、なぜか全員が(回遊魚のように)同じ方向に歩いてしまうことが少なくありません。そんなときはプレイリーダーがその流れに逆らうように歩いて、ぐちゃぐちゃ感を出していくとよいでしょう。
Profile ●東京・山梨動きづくり研究会
山梨大学学長中村和彦教授を中心に、東京都と山梨県内の小学校教員が中心となって組織する研究会。
小学校の教員だけでなく、企業、保育士、幼稚園教諭、運動指導関係者などさまざまな方が参加している。
https://ugokizukuri.amebaownd.com