第12回 運動遊びのアイテム⑪ ゲーム1
東京・山梨動きづくり研究会編
(2024.08.06 公開)
鬼遊びを発展させた運動遊び①
○ピーター・パン(進化した氷おに)
マーク(磁石など)を用意する。
①2チームに分かれ、各チーム3人(増減可)の「ピーター・パン」役を選ぶ。ピーター・パンはマーク(「魔法
の石」などと呼ぶ。磁石など隠せる程度の小さいものを使用)を、相手にわからないように持つ。
②互いにタッチをされたらじゃんけん(体じゃんけん)をし、負けたほうは石になる(その場で座る)。
③ピーター・パン役は、石になった味方にタッチをして復活させることができる。
④ピーター・パン役がじゃんけん(体じゃんけん)をして負けたら、審判にマークを渡して石になり、ピーター・
パンの力も失う。
⑤すべてのピーター・パンを捕まえたチームの勝ち。
《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
「その作戦、天才!」
いろいろな作戦を考えられるのが、この遊びの楽しさであり、相手に勝つ秘訣でもあります。素敵な作戦を考えた
子やチームを褒めて、遊びをより活発にしましょう。
《このアイテムのよさやねらい》
普通の氷おにと比べて、相手のピーター・パンを探したり、自分がピーター・パンだと気づかれないように動いた
りする必要があります。そのため、頭を働かせながら遊ぶことができ、学年が上がるほど高度な作戦を立てること
でさらにのめり込めるようになるでしょう。また、全員が「おに」であり「逃げる人」なので、休みなく動き続け
る必要があり、運動量も豊富な遊びです。
→こんな発展ができます。
○3チームにする
相手となるチームが増えるため、作戦やその読み合いなどがより高度になります。
★プラスワン★ このような複雑な遊びは、どうしても説明が長くなりがちです。しかし、子どもは待っていられません。なるべく簡潔に説明して、まずはやってみることから始めてみましょう。
○氷おにドッジ
ボール(1チーム分)を用意する。
①3チームに分かれ、1チームだけ、1人1個ボールを持つ。
②他の2チームは逃げ、ボールを当てられたら凍る(その場で固る)。
逃げてよい範囲は、指差し確認などをしながらあらかじめ示しておく。
③逃げているチームの人が、解凍音「チン!」と言いながらタッチすると、氷を解いて助けることができる。
④1分間でボールを持つチームを交代する。凍った人が少ないチームが勝ち。
《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
「氷の天才だ!」
凍るというルールが乱れると遊びがつまらなくなってしまいます。固まり上手な子を褒めることで、気持ちよく
ルールを守りながら遊べるようにしていきましょう。
→こんな発展ができます。
○用具を変える
大きなボール、小さなボール、布製のフライングディスク など。同じ遊びでも、用具によって自然にさまざま
な投げ方やよけ方を引き出すことができます。また、十分遊んだところで別の用具を提示することで、遊びの意
欲も復活します。
★プラスワン★ このような遊びでは、もめることがあります。ただ、もめるのは子どもたちが本気の証でもあります。そんなときは指導者が解決するのではなく、同じトラブルにならないように「どうしたかったの?」「どうすればいいんだろう」と解決策をみんなで考えましょう。「トラブルは成長のチャンス」です。
○じゃんけん宝取り
「お宝」にできるようなものを用意する。
①2チームに分かれる(8人対8人など)。
②自陣にお宝を置いて、相手のお宝に向かってスタート。
③相手にタッチされたらじゃんけん(体じゃんけん)をし、負けたらその場に座る。
④同じチームの仲間は座っている友達にタッチして復活させることができる。
⑤先にお宝を取ったチームの勝ち。
《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
「どう攻めるといいかな?」
みんなが同じように動いてもじゃんけんで負け続けてしまえば勝つことができません。いかにチームで役割分担を
しているかがポイントになります。
《このアイテムのよさやねらい》
この遊びは、バスケットボールやサッカーなど、「ゴール型」といわれるスポーツの基本となります。相手がいな
いところを見つけて走ったり、同時に自分のチームの人を助けたり、ときにはフェイントをかけたり。そんな動き
はゴール型の動きそのものです。ボールがない状態でこのような鬼遊びを行うことで、「ボールを持たないときの
動き」につながっていきます。
→こんな発展ができます。
○ルールを変えてみる
仲間を復活させられる人を1人だけにすると、その人がじゃんけんで負けたら誰も復活させてもらえなくなりま
す。このようにすると、さらに役割分担や作戦が明確になっていきます。
★プラスワン★ 夢中になってくると、「タッチした/していない」でもめてしまうことがあります。タッチされていても「本当にタッチされていない」と思っていることが多々あります。これはまだボディイメージができていないために起こることで、この遊びなどで、「触れられた」などがわかるようになっていけるといいですね。
鬼遊びを発展させた運動遊び②さらにボールゲームにつながる遊び
○5歩おに
①10人程度につき、鬼役を1人決める。
②プレイリーダーのかけ声「はじめの一歩」で、全員一斉に動く。
※逃げてよい範囲は、指差し確認などをしながらあらかじめ示しておく。
③プレイリーダーの「せえの! 1・2・3・4・5」に合わせて、全員が好きなように5歩歩いてストップ。止
まったところで鬼にタッチされら、その人も鬼になる。
④3~5回繰り返し、勝ち残った子たちにみんなで拍手!
《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
「あそこに隠れている人がいるよ!」
うまく逃げている子も見逃さない! より多くの子どもたちとドキドキ感を共有しましょう。
《このアイテムのよさやねらい》
この遊びでは、鬼の動きを見ながら自分の進む方向を判断します。ボール運動の「ボールを持っていないときの動
き(オフザボールムーブメント)」の基礎感覚を養うことができます。しかも「5歩だけ歩く」という制約の中な
ので、走力の差も出にくく誰でも楽しむことができます。
→こんな発展ができます。
○動き方を変える
両足跳び、片足跳びなど、動き方を変えてみる。
○鬼の数を増やす
「誕生日の月が奇数の子は全員鬼!」など
○5当て
ボールを1個用意する。
①10m×10mなど一定のスペースを作り、そのスペースに10人程度 などとする。
②1人がボールを持ってスタート。
※ボールを上に投げて5回バウンドさせて拾う。ボールを持っていない人はその間に逃げる。
③ボールを持っている人は、持ってない人に投げて当てる。投げるとき5歩まで歩いてよい。
④ボールを持っていない人はスペース内を自由に逃げてよい。5回ボールを当てられたら負け。
《子どもを育てる!「魔法のかけ声」》
「ボールを持ったらすぐに近くの人をねらおう!」
ボールを持ってゆっくりしていると、逃げる人が遠くに離れてしまいます。いかにすぐ投げられるかがポイントで
す。
《このアイテムのよさやねらい》
ボールを捕ったらおしまいというボールゲーム、球技はほとんどありません。ボールを捕ったらパスをしたり、
シュートをしたりなどすぐ次の動作に切り替えます。5当ては、すぐに動作を切り替えないと自分が不利になって
しまいます。いかに次の動きに切り替えられるかどうかが重要で、その感覚を身に付けていくことができます。
→こんな発展ができます。
○ボールを変える
ボールの数を2個に増やし、大きなボールと比較的小さなボールの組み合わせにするなど。また、空気を抜いて
みることで、子どもたちの距離が近くなったりキャッチしやすくなったりします。数だけでなく、ボールにひと
工夫して遊んでみましょう。
Profile ●東京・山梨動きづくり研究会
山梨大学学長中村和彦教授を中心に、東京都と山梨県内の小学校教員が中心となって組織する研究会。
小学校の教員だけでなく、企業、保育士、幼稚園教諭、運動指導関係者などさまざまな方が参加している。
https://ugokizukuri.amebaownd.com