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GIGAスクール構想とICT活用

〈座談会〉コロナ禍の学級運営とICT活用 〜前編〜 ①

(2021年11月10日更新)

山口大学教育学部附属光中学校 教諭 藤永啓吾
東京都国分寺市立第四小学校 主任教諭 前田良子
東京都足立区立足立小学校 教諭 杉本 遼


新型コロナウイルスの感染拡大から二年が経とうとしています。感染予防対策がなされる中での学級運営について、コロナ禍で普及が加速したICT活用について、現場の状況と共に三人の先生方からお話を伺いました。

つながりの大切さを再確認

―コロナ禍に見舞われてからの学校の様子と取り組みについて教えてください。

藤永 大人も子供も人間のぬくもりを、今まで以上に求めるようになったと思います。「人との距離を保ちましょう」「話してはいけません」と、物理的な距離が求められ、人との関わりが制限されるようになったことで、これまで当たり前だった「つながり」をより大事にしたいという姿がみられます。
最初の一斉休校のときの生徒たちへの対応は電話連絡でしたが、再び休校になった際に、私が学年主任を担当している中学三年生はZoomを使った学年集会を行いました。画面越しですが、顔を合わせることができたのはとても良かったです。
リモート環境の整備に関しては、各家庭に対して事前にパソコンやタブレット端末等のハードウェア所有の有無、インターネット環境の確認等を行いました。リモート環境が整っていない家庭は約一割でしたので、学校で用意したタブレットを貸し出し、Wi-Fi環境に関しては大学から支給されたルーターを貸し出しました。中学三年生は高校受験を控えている大事な学年です。生徒、教員にとって、大きな環境の変化に対応しなくてはならず、本当に大変でした。
受験生は自分の学力を高めると共に高校の情報を集めることも必要です。ところが、ほとんどの高校のオープンスクールが中止になってしまいました。そのため、各高校の先生方に来校いただき、学校紹介をしてもらったり、学校紹介動画を提供していただいたり、オープンスクールに代わる場をつくったりしました。
他県の学校を受験する生徒は県をまたぐ移動があったため、自宅待機で数日間登校できなかった生徒もおり、学校で面接試験の直前対策ができない場合は、リモートで模擬面接を行いました。面接官役の教員数を実際の面接と同じにするなど、できる限り本番に近い内容で準備しました。

藤永啓吾先生
(*山口県からリモートで参加)

前田 私が勤務している公立の小学校では、感染予防対策として、まず分散による少人数ずつでの登校を実施しました。休校時の学習面については、全国の公立学校で利用されている教育クラウドサービス『まなびポケット』で教員が課題を提示する一方で、紙のワークシートも準備し、デジタル、アナログの両方を使って学びを進めていきました。
密になることも成長には欠かせない年代の小学生たちに「くっついてはいけない」「おしゃべりしてはいけない」と制限をかけながら、明るく子供らしく成長できるようにするにはどうすればいいか。この点が難しいと感じました。
例えば、道徳の学習のときに「困っている人がいたら助けよう」「人と積極的に関わろう」ということを伝えたいと思っても、コロナ禍のため社会では「人と離れましょう」「話してはいけない」という注意喚起がされていているので、兼ね合いがとても難しいのです。
私の学校でもコロナ禍になったばかりの頃は、リモート環境が整っていなかったので、各家庭にある端末を活用してもらい、もっていない家庭には端末を貸与するなど、順次整備をしていきました。子供よりも大人のほうが機器の扱いに慣れるのが難しかったです。研修会を開いて、熟知している先生から指導してもらうなどして慣れていきました。

前田良子先生

杉本 私は、二年前は六年生、昨年度は一年生を担任しました。つまり、普通の卒業式、入学式ができなかった学年を担任したことになります。クラスだけの卒業式、入学式でした。
当初予定していた四月の入学式の日は、一年生の児童は登校できない状態でした。教科書を保護者に渡し、直接渡せない場合は郵送。児童や保護者の皆さんと顔を合わせることのないまま新学期がスタートしたのです。そこで、最初の緊急事態宣言発令中の昨年五月に、Zoomで朝の会を始めました。
リモート環境の整備については、藤永先生の学校とほぼ同じです。入学したばかりの子供たちにまず「自分たちのクラスがあること」を感じてもらいたかったので、朝の会では子供同士で名前を呼び合って健康観察を行いました。自宅から発信する自己紹介では、学校ではできないことが行えたのが新鮮でした。たとえば、柔道を習っている子は柔道着を着て登場したり、兄弟姉妹を紹介したり。ほかにも、ブレイクアウトセッション(グループに分かれてディスカッションする)機能を使って休み時間に自由におしゃべりさせたりしました。
Zoomの朝の会により、一年生の小学校導入期に、学習に集中する環境をつくることができました。自然と椅子に座り、画面を見ることで話を聞き、相手に集中できます。リモートでの学習は、子供の端末の横に、時々保護者の姿を感じ、毎日授業参観のようでした。保護者と一緒に児童を育てているようで良かったです。

杉本遼先生

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