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教育ジャーナル Vol.8-1
新学習指導要領での学び(3)
「令和の日本型学校教育」の構築を目指して
~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)
新学習指導要領での学び(3)
Vol.7号掲載の萩生田光一文部科学大臣のインタビューの中でも語られた「令和の日本型学校教育」。その具体的な内容は、1月26日の中央教育審議会『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)』に示されている。ここでは、その概要を紹介する。
「令和の日本型学校教育」の構築を目指して
~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)
教育ジャーナル編集部
新時代の初等中等教育の在り方を検討
中央教育審議会は、本年1月26日の第127回総会において『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)』を取りまとめた。これは、2019年4月に「新しい時代の初等中等教育の在り方について」文部科学大臣より諮問されたことを受け、初等中等教育分科会(以下、「分科会」)に「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」を設置し、議論を進めてきたもの。
19年12月には、分科会において、「論点取りまとめ」を行い2020年代を通じて実現を目指す、新しい時代を見据えた学校教育の姿を示し、そのような教育を実現していくために必要な方向性と、今後、検討を行うべき論点を取りまとめた。
その後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により対面での会議ができなくなっても、オンラインによる審議を進め、20年10月に分科会としての「中間まとめ」等を経て、今回の答申となった。
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本答申は、第Ⅰ部総論と第Ⅱ部各論から成るが、ここでは、総論に示されている内容のアウトラインを紹介する。
総論で述べられていること
1. 急激に変化する時代の中で育むべき資質・能力
まず、社会の変化が加速度を増し、複雑で予測困難となってきている中、子供たちの資質・能力を確実に育成する必要があり、そのためには、新学習指導要領の着実な実施が重要である。
2. 日本型学校教育の成り立ちと成果、直面する課題と新たな動きについて
学校が学習指導のみならず、生徒指導の面でも主要な役割を担い、児童生徒の状況を総合的に把握して教師が指導を行う「日本型学校教育」は、諸外国から高い評価を得ているが、変化する社会の中で様々な課題にも直面している。
そうした状況に対して、必要な改革を躊躇なく進めることで、従来の日本型教育を発展させた新たな日本型教育「令和の日本型教育」の実現を目指す。
3. 2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿
「令和の日本型学校教育」の姿は、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学び」である。その実現のために、ICTの活用と少人数によるきめ細かな指導体制の整備により、「個別最適な学び」と、これまでの「日本型学校教育」でも重視されてきた、「協働的な学び」とを一体的に充実し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげる。
4. 「令和の日本型学校教育」の構築に向けた今後の方向性
これまで日本型学校教育が果たしてきた、本質的な役割は継承。
教職員定数、専門スタッフの拡充等の人的資源、ICT環境や学校施設の整備等の物的資源を十分に供給・支援することは、国の役割である。
履修主義か修得主義か、デジタルかアナログか、遠隔・オンラインか対面・オフラインかといった「二項対立」に陥らず、教育の質の向上のために、双方の良さを適切に組み合わせて生かしていくべき。
学校と地域が相互にパートナーとして一体となり、子供たちの成長を支え、多様な人材が指導に携われるようにすることが必要。
さらに、目標の達成状況を客観的に点検し、教育政策のPDCAサイクルを着実に推進。
5. 「令和の日本型学校教育」の構築に向けたICTの活用に関する基本的な考え方
「令和の日本型学校教育」実現のためには、ICTが必要不可欠であり、これまでの実践とICTとを最適に組み合わせることで、様々な課題を解決し、教育の質の向上につなげていくことが必要。
特に、GIGAスクール構想により配備される端末は,クラウド上のデータや各種サービスを活用することを前提としているので、クラウドの活用を禁止せず、必要なセキュリティ対策を講じた上で、その活用を進めることが必要。
ICTを活用するにあたっては、それが目的化しないよう留意し、PDCAサイクルを意識し、効果検証・分析を適切に行うことが重要であり、健康面を含め、ICTが児童生徒に与える影響にも留意すべき。
また、ICTの全面的な活用により、学校の組織文化、教師に求められる資質・能力も変わっていく。その中で、Society5.0 時代にふさわしい学校を実現していかなければならない。
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この答申の最後に書かれているのは、「子供たちの学びは幼稚園から高等学校段階で完結するものではない」こと。
「高等教育機関での学びや、実社会で活躍しながらの学び直しといった形で、人生100年時代において学び続けることとなる。」とし、「高等教育においても、これからの時代に求められる資質・能力を育んでいけるよう、学校教育全体を俯瞰した改革が進められることを期待する。」と結ばれている。