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情報モラル教育は、「心の教育×情報社会に関する知識」①

(2021年10月21日更新)

情報モラル教育は、
「心の教育×情報社会に関する知識」①

東北大学大学院情報科学研究科教授
堀田龍也

はじめに

まもなく児童生徒1人1台の情報端末が整備されます。ICTを活用して必要な情報にアクセスし、自分にとってどの情報が必要か判断し、得られた情報を組み合わせ、自分の考えを付け加えて発信する……といった一連の学習活動が各教科等の中で期待されます。
このような学習活動によって身につく問題発見・解決能力、探究的な態度、社会の現状と自己の関心をつなげて学んでいく学びに向かう力など、各教科等の知識・理解を超えた学び方のスキルの育成が求められる時代です。
こうした学習を支える基盤となる資質・能力の1つとして、情報活用能力(情報モラルを含む)が学習指導要領総則に位置付きました。各学校では教育課程を編成する際に、情報活用能力がしっかりと身につくようにカリキュラム・マネジメントを行う必要があります。
本稿では、この情報活用能力の育成と情報モラル教育について取り上げます。

情報モラル教育に関する国の動向

2020年4月公表の内閣府「青少年のインターネット利用環境実態調査」によれば、中学生のインターネット利用率は、男子94.0%、女子96.1%です。そのうち、スマートフォンでの利用は、男子64.7%、女子73.2%となっており、男子より女子の方が多い傾向にあります。
それに対して、タブレットでの利用は、男子36.0%、女子29.5%、携帯ゲーム機での利用は、男子42.2%、女子21.8%であり、女子より男子の方が多い傾向にあります。
スマートフォンでインターネットを利用している中学生が、平日にインターネットを利用している時間は、平均で133.5分と2時間以上であり、3時間以上と回答した中学生が33.7%存在します。ちなみに、利用時間については男女で大きな差はみられません。
このように、すでに児童生徒のICTへの接触傾向は次第に低年齢化しています。他国と異なっているのは、日本では学校教育へのICT環境整備が大幅に遅れていたため、学習活動においてICTを活用する経験が児童生徒にほとんどなく、その結果、彼らがICTを遊びの道具としてしか捉えられていないことです。
そして、十分な学習経験をもたないまま見よう見まねでネットにアクセスし、ネット情報の適切な読解の方法論を知らずにクリックしたり、不適切なコミュニケーションの特徴を知らずにトラブルに巻き込まれたりしています。
近年、インターネットの過度な利用によるネット依存や、ネット詐欺・不正請求などのネット被害、リベンジポルノなどのインターネット上の犯罪、インターネット上への不適切な投稿による社会問題などが頻発しています。とりわけ、ネット依存により日頃の生活リズムが崩れ、学習時間が奪われるなどの影響が生じている問題や、ネットいじめ等にまつわる児童生徒への指導が喫緊の課題となっています。
これらの課題の多くは、「遵法精神、公徳心」や「節度、節制」、「善悪の判断」、「友情、信頼」など、道徳的価値に引きつけて検討できるもので、現実の問題を解決するための道徳的判断力の育成として題材化できる内容です。
そのため、学校の教育活動全体を通して行う道徳教育の要である特別の教科道徳(以下、道徳科)は、情報モラル教育においても中核的な役割を果たすことになります。
しかし、情報モラル教育に関する指導は、学習指導要領総則に記載されていることからも分かるように、学校の教育活動全体において意図的・計画的に行うものです。

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