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道徳授業 私の実践 情報モラルの授業 ―児童の気付きを重視して―

(2023年6月1日更新)

大阪府大阪市立深江小学校教頭
山本 岳大

授業では気付きがなければならないと考える。そこで、児童の気付きを中心に授業を構築した。

授業の概要

○主題名 責任と規律ある行動
○内容項目 A 善悪の判断、自律、自由と責任 
○教材名 「会話のゆくえ」(『新・みんなの道徳 6』学研)
○あらすじ あゆみは、合唱コンクールに向けて優勝を目指してもっと上手になりたいと思い始めたが、SNSでの会話がうまく進まず、他人への非難になってしまう。
○ねらい 相手の表情が見えないことや、他の人には見られない仲間内での会話であるなどの特徴から、SNSは他者への誹謗中傷や相手の気分を害する発言が起きやすいことに気付き、SNS上でも自分の言動に責任をもつことについて考えを深める。
○想定する児童の気付き SNSのもつ特徴が、会話がよくない方向に進んだ要因であると気付かせたい。そのために、この会話はクラスのみんながもっと上手になるために始めたことや、SNSの特徴に目を向けさせる。

授業の実際

①SNSのよさについて
児童は、自分の経験を振り返り、友達とコミュニケーションが取れたり、すぐ情報を知ることができたりして便利だと答えていた。
②あゆみがいつも連絡を取り合っているSNSのグループに連絡を取った理由について
ここでは、あゆみはクラス全体で優勝を目指して頑張りたいという思いがあることを押さえた。
③この会話のみんなの発言でよくないものと、その理由について
児童は「な○こ」に対する発言に注目し、その理由である「見られていないから」や「陰口みたい」などからSNSの特徴を押さえることができた。
④あゆみのよくない点と、その理由について
ここでも、児童は「な○こ」への発言に話を合わせていったことがよくないとしていた。また、ソプラノパートに「がんばって」という部分から、表情が見えないから誤解を与えたり、相手の気持ちを考えにくいというSNSの特徴に気付いていた。
⑤あゆみに足りなかったものについて
SNSの特徴として非難につながりやすいことに気付き、自分の発言の影響を考えることや、自分の考えをしっかりもつことの大切さについて考えていた。また、クラスのことについて一部のSNSのグループで話したことが原因であると考える児童もいた。

成果と課題

授業の最後に書かせた道徳ノートの記述から、児童はSNSの特徴に気付き、SNSでも相手のことを考え、自分の発言に責任をもつ大切さを理解することができたと考えられる。
しかし、なかなか意見が出ない場面もあったので、児童がさらに考えたくなる工夫が必要である。

(やまもと たけひろ)