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教育ジャーナル Vol.14-1

特別座談会 社会に開かれた学び 第2回

情報活用能力×学校教育
後編 情報活用能力の育成~課題と展望~

特別座談会 社会に開かれた学び 第2回

情報活用能力×学校教育
後編 情報活用能力の育成~課題と展望~

 特別座談会「社会に開かれた学び 第2回」のテーマは『情報活用能力×学校教育』。前編では「情報活用能力の育成を踏まえた学び」について、教育ICT 活用に関する実践的な研究を重ねている豊田先生と、実際に現場に立つ先生方からお話を伺いました。現在、全国のほとんどの学校で1人1台タブレットが導入され、タブレットなどを活用した授業が行われていますが、現場ではどのような課題が見えているのでしょうか。ICT 教育の実践を通して見えてきた情報活用能力育成での課題や、今後の展望について語っていただきました。

豊田充崇教授/リモート参加
(和歌山大学教職大学院)
松井直樹主幹教諭
(東京学芸大学附属大泉小学校)
田部久美子主任教諭
(東京都/千代田区立お茶の水小学校)

※所属、肩書は座談会開催時のものです。

情報活用能力から見えるICT教育の課題

── 情報活用能力の育成を踏まえて、実践の中から見えてきた課題はどのようなものがあると思われますか?

松井 現行の学習指導要領でも重視している「見方・考え方」の部分で、情報活用能力が生かされているのではないかと考えています。私は特に見方・考え方を豊かにした思考力や判断力、表現力を育むことに注目しています。
 私が行っている保健の授業では、収集した情報が自分の知りたい課題解決に結びつくかどうかを、適切に判断することを大切にしています。健康に関する内容については、世の中にさまざまな情報があふれていますので、収集するだけではなく情報の適正化を判断する力が求められています。
 1人1台端末を活用するとたくさんの情報は集まりますが、それらが正しいものかどうかがわからなかったり、判断に迷ったりする場面が出てきます。ICT教育の環境が整い、子どもの学びの可能性が広がるのは望ましいことです。今後もより一層、私たち教師の発問が重要なカギになることを、課題として捉える必要があると思います。
 子どもたちへの発問が曖昧すぎると、何を学べばよいのか、どんな情報を集めたらよいのか、情報をどう活用したらよいのかという学びの基本がわからなくなってしまいます。
 ですから、教師の発問は子どもたちの学びの最初の舵取りとしてより大事になるでしょう。健康に関する情報は日々アップデートされていますので、教師側が情報を精査する力が必要になりますし、ある程度、情報はセレクトしておく必要も出てきます。今は教科書などの教材にQRコードが付加された資料があるので、まずは教師が子どもの立場に立って実際に調べ、学びのプロセスを一緒に体験して、情報活用のアクションを子どもたちと共有するほうがよいと考えています。
 なぜなら、自分で体験してみると、子どもたちにとってどんなことが必要かという課題が見えてくるからです。やみくもに情報を集めて、それらをコピー&ペーストする、というやり方だと、情報の意味そのものがわからなくなることがこれまでの学習でありました。
 まずは、ICT機器を使わせればよいという方法で進めると、そのような状況になりやすいのではと危惧しています。学びの一つの方法であることを念頭に、発問を吟味して、自らも情報活用しながら教材に取り組んでみるなど、子どもの立場に立った学びづくりがICT教育の課題であると考えます。

田部 ICT端末の活用には安全な使い方の指導が重要である一方、端末を使ったコミュニケーションの仕方についての指導が重要になってくると思います。端末を使う場面に限らず、コミュニケーション能力を高める適切な指導を各教科の中で、段階的、意図的かつ系統的に行っていくことが課題ではないかと考えています。
 例えば、安全な使い方の指導では、ゲームで課金をしない、危険なサイトにアクセスしないなどの内容を扱いますが、これらは小学校低学年の段階では、学校での使用場面とは一致しないので、1人1台タブレットが手元にあるという現状を踏まえると、タブレットという機器の使い方を学びながら、使用場面に合ったモラルを学習していくほうが、より身近なように思います。

実践を集めて効果的な学びへ

 ── 今、新しい学び方へシフトする過渡期だと思いますが、効果的な学びを考えたとき、従来の指導法と端末を使った指導法の振り分けについて考える機会はありますか。

松井 1人1台端末の環境が整ったばかりで、実践途中のため、今後、さまざまな声があがってくるのではないかと思います。指導内容と効果的な学びを考えた際に、「ここで(端末を)使わなくてもいいかも」「端末を外したらどのような授業になるだろう」という場面も出てくると思います。しかし、どうしても限られた時間での指導になりますし、内容と時間を考えたバランスも必要になると思うので、単元計画の中で「このシーンには必要だ」というねらいをもって指導するところで活用していければよいですね。
 今後、多くの実践が集まってきて、手法や導入の時期、学年の系統性などが積み上がってくると思います。指導では「ここで使わなくてもできる」と思うこともありますが、導入期という現状を考えると「まずは使ってみたらどうなるだろう」ということを考えながら、実践を行っていく状況だとも思います。

田部 端末が配布されたので使わなければいけないという思いの中で、使う必要がないかもしれない場面で使わせるというようなことも、これまでには行われてきたと思います。
 けれども、子どもたちが1人1台端末に慣れてくれば、他の文房具と同じように活用されていくでしょうから、教師側も「タブレットを必ず使わなくては」と、考える感覚はどんどん少なくなるのではないかと思います。
 私の勤務する学校では、小学校1年生の5月には端末を渡しています。渡したのであればすぐに使わせたいのですが、(前編で)豊田先生が「操作スキルと情報モラルの両輪を」とお話しされたように、指導は両輪で進めていかなければならないと思います。初めは操作スキルだけを先行させてしまいがちですが、モラルについてもあえて意識して指導することが大切です。
 その点で、1年生の道徳の教材『さるきちのいたずら』は適していると思います。書き込みについて考える学習なのですが、指導の後でチャット機能を活用し、操作スキルとモラルの学習を同時に行ったり、モラルについて考える機会をつくったりするポジティブな学びが可能になります。従来の教材にありがちな禁止事項中心の生活指導的なものではなく、実際に端末を使って実感を伴いながらモラルの大切さに向き合うことができます。

見方・考え方を形成するための情報活用能力

豊田 先ほど松井先生が「見方・考え方を育む」点で情報活用の力が重要であると言われましたが、文部科学省から出ている教育の情報化の手引きの中にも、「情報活用能力とは問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力である」と書かれています。
 何かをする、何かを判断する際の見方・考え方を形成するために必要な能力であり、学習指導要領上の文言としては「学習基盤となる資質・能力」と書かれていますので、この点について言及いただけたのは非常にうれしく思います。ただ、こういった資質・能力が子どもたちにどこまで身についているのかを、ある程度、先生や学習の主体である子どもたちが判断できないといけないと思います。
 例えば、『調べる力』といっても、小学校1年生と6年生では大きく違います。ところが、今までは情報モラルや情報活用能力がどこまで達成できたかを測る基準がはっきりしていませんでした。
 基準が今まで公開されてこなかったことで、私は今、いろいろな学校と検討しているところなのですが、一例として、教科書の内容を情報活用能力という面で確認してまとめた『情報活用スキルルーブリック』の「情報収集のスキル」を見てください。

●情報収集のスキル

 Cの低学年からBの中学年、Aの高学年、Sが中学校レベルまでの区分けで、子どもたちが身につけたい情報活用能力についてまとめており、「情報収集」のほかに、「情報の整理・分析」「情報編集」「表現・発信」の4分類から全24項目を作成しています。

●情報の整理・分析のスキル
●情報編集のスキル
●表現・発信のスキル

 これを基準に一定の育成を図っていこうと和歌山市の研究校で実施したものです。
 この内容は教員だけでなく子どもも理解できるように、適応学年の言葉で書きかえたものも作成しています。
 これらをもとに、育成する部分と発揮する部分とを切り分けて、国語と総合的な学習の時間の単元を、いわゆる中心実践、子どもたちの力を集大成する実践として設定し、周辺にあるいろいろな教科の単元で、情報活用能力を育成していくことを1年間の指導を通してまとめてもらいました。

●国語科を中心とした情報活用能力育成・発揮の取り組み

 これをご覧いただくと、カリキュラムイメージマップという形で、周辺にあるいろいろな力を育成し、集大成して発揮するのが、この国語や総合的な学習の単元であるということが、パッと見てわかるようになっています。情報活用能力は人によって捉え方が違いますし、子どもにとっても、今、自分がどのレベルにいるのかということは基準がないと曖昧なままですので、ここでご紹介したような基準があれば、先生も子どももしっかりと認識することができると思いますし、先生がスキルを指導する部分と、子どもたちがそのスキルを発揮して学習を進める部分を切り分けて取り組むことができます。
 実際には、このようなことをしなくても、担任の先生はこれまで感覚的に行ってきたと思うのですが、GIGAスクールで一気に端末が普及して情報化が進んだ今、学校やクラスによって習得の差が出るおそれもありますから、そのようなことがないよう、学校としての系統性というものをつけることが必要になってくるわけです。
 田部先生がお話しされていた情報モラルについては「表現・発信」の中に、松井先生がお話しされていた情報の判断力については「情報の整理・分析」に分類できます。実践で見えてきた課題を踏まえ、基準を網羅していければと思います。そして、先生方が感じられていることを学校全体でしっかり共通認識として見える化して、ブラッシュアップしていくことが望ましいと思います。
 そのためにどういうことが必要なのかを今、考えているところで、具体化した一例が『情報活用スキルルーブリック』や『カリキュラム系統表』なのです。これをつくったからといって何事もうまくいくわけではないのですが、第一段階のものとして検討しています。

田部 子ども向けにもなるルーブリック表はとてもいいですね。子ども自身の目標にもなりますし、これまで見たことがなかったので、とても参考になります。

豊田 表をラミネート加工したり、大判プリントしたりして、教室に掲示している学校もあるようです。

田部 タイピングの検定には取り組んでいるのですが、能力ごとに分類されていて、モラルやセキュリティーについても含まれている点がとてもよいと思います。

基準があれば系統性が見通しやすい

 豊田 実際、業務と指導でお忙しい先生方にとって、各教科の目標達成をしないといけないのに、さらにこのような基準が入ってくると、「なんだかどっちつかずになってしまう」と言われてしまうこともあります。でも、教科の目標達成のための学習の基盤として、子どもたちが身につけているスキルの範囲を把握しておかないと、せっかくタブレットを使った指導ができている中で、見落としてしまうかもしれない能力が基準によって測れるので、「上手に使えば一石二鳥になると思います」と話しています。
 ですが、一部の研究校以外ではなかなか普及していないのが現状です。

松井 豊田先生が示された『情報活用スキルルーブリック』や『カリキュラム系統表』があると、学習で活用するスキルを説明する際の根拠になりますし、カリキュラムイメージマップで全体の学びが確認できれば、従来はバラバラになりがちなものが、実はすべてつながっていることがわかるので、より授業がしやすくなるように感じました。全体を見据えてから取り組んだほうが、豊かな学びになることがひと目でわかります。

田部 そうですね。1時間の中でここを目指しましょうというのではなく、「今、どのレベルにいるのか?」という視点で捉え、自分の情報活用能力の状況を把握するものとして、とても活用しやすい表だと思います

 ── 話は変わりますが、情報端末機器を扱うという点で、子どもたちに体のこと、健康のことを考えた使い方についての指導をしたり、ご家庭からそのような相談があったりしますか?

松井 スマホを持っている子どもも多いので、個人面談などで使い方についての話を聞く機会はあります。家庭の中でルールをつくっているケースは多いですし、学校で扱うICT機器について家庭にご協力いただきたいモラル的なものを、保護者会でご説明することがありますので、協力を得ながらタブレットばかりではない学びも紹介、指導しています。

田部 本校はタブレットと一緒に、使い方のルールを書いたものを下敷きのようにラミネート加工をして、タブレットケースの中に常に入れておくよう指導しています。その中に「30分に一度は遠くの景色を見るなど、ときどきは目を休ませましょう」という一文がありますので、配布の際に指導をしています。

新たなコミュニケーションツールとしての活用

 ── ICT教育もしくは情報活用能力の育成について、将来的にはどのような点を目指したらよいのでしょうか。

豊田 今後、タブレット端末は教科の学びだけではなく、新たなコミュニケーションツールやクリエイティブツールとして使っていくことが、一つの展望としてあるのではないかと思います。
 というのも、コロナ感染症拡大の世の中になる前、GIGAスクール構想の話が出たときに、当時の文部科学大臣がコメントを出したのですが、そこで述べられた最も重要なキーワードが「創造性」だったのです。GIGAスクールの端末で何をやるのか? ということで、最も強調された言葉が「創造性」でしたが、端末をなんらかの創造的ツールとして使うという視点をもっている学校がまだあまりないように感じられますので、それらが今後の展望を語る上で重要なキーワードになると思います。
 例えば、GIGAスクールで教育クラウドサービスが充実されれば、もうプログラミングの指導はいらないのではないか、という極端な話もあるのですが、そういうことではなくて、むしろ1人1台体制になったことで、自宅でスキルに合わせてゆっくり学べるという重要な要素が加わったと思うのです。こういった点があまり語られていませんね。
 子どもたちが図工の授業で描いた魚の絵を、画像として取り込んでプログラミングで魚に動きをつけたり、写真を並べてナレーションを入れた地域のPR動画を作成したり、校区内にある和菓子屋さんを、子どもたちの視点でSNS発信して盛り上げていったり、子どもたちのクリエイティブツールとして端末を活用している実践事例も出てきたのですが、まだかなり特殊だと思われています。
 一方で、子どもたちは家に帰ればプログラミングの教室に通ったり、SNSでどんどん発信したりしているわけで、こうしたクリエイティブな活動は日常的なものですから、学習効果について測るというよりも、オンラインの最初の導入時点に戻って、コミュニケーションツールやクリエイティブツールとしての役割を積極的に取り入れられたらいいと願っています。

松井 そうですね。コミュニケーションツールとして考えると、タブレットの中でのコミュニケーションと、タブレットが媒介となって人と人がしっかりとかかわるコミュニケーションの両方の可能性はあるように思います。
 一方、クリエイティブツールとして保健の学習面から考えると、さまざまな健康に関する情報が簡単に入手できる状況の中で、その情報を判断する力と併せて、自分の考えをまとめる力も必要になってくると思います。私がこれから取り組みたいことは「得られた情報をどのように見るか」という部分です。
 例えば、入手した情報を「比較」したり、原因を考えてみたりして、情報や自分の考えにどのような「変化」が生まれてくるのかを経験することです。これを私の学校では『対象を捉える力』と呼んでいます。対象を捉えた上で得た自分の考えを発表・発信するために、資料をつくるにはクリエイティブな力が、発信にはコミュニケーション力が必要になります。このような活動に、私たち教師側がひと工夫することが必要ですね。

田部 今は指導者側が授業の中で、課題解決のために使用するアプリの種類や手段を選んでいるという状況が大半だと思います。しかし、いずれは子ども自身が主体的に課題を解決するために最も適したアプリを選択できるようになることで、創造性が育まれたり、個別最適な学びにつながっったりしていくのではないでしょうか。
 さらには、先ほど話題で出たように、ICTを使ったほうがよいか否かという判断も、子ども自身が選択できるような、主体的な学びができることが理想だと思います。
 小学校1年生からタブレットに触れているので、段階的に情報活用能力を育むことでICTのよさを生かしつつ、ほかの文房具と同じ扱いができるようにしていきたいです。

豊田 これはとても重要な内容です。個別最適な学びの下位カテゴリーには『指導の個別化』と『学習の個性化』の2点あるのですが、性質がまったく違うものを個別最適な学びのカテゴリーに入れてしまったことで、現場では混乱しているのではないかと思っています。今、田部先生がお話しされたのは『学習の個性化』のほうで、情報活用能力に大きく関連するものです。
 一方、例えば、タブレットドリルで習熟度別に問題を解いていくことは『指導の個別化』ですが、個別最適な学びというと、こちらの側面が色濃いように思われています。学習の質やレベルに応じて子ども一人ひとりに対し、AIから適した問題が出題され解答していくようなことばかりが、個別最適な学びにマッチしているように思われてしまうことへの誤解を、払拭していかなければならないと思います。
 お話に出た『学習の個性化』、つまり子どもが自らメディアを選択して主体的に学んでいくことは、今後の大きな課題になっていくように思います。

学びの道筋の中にある情報活用能力

 ── カリキュラム・マネジメントという点においてはいかがでしょうか。

豊田 こちらの資料をご覧ください。これは、「海洋プラスチックゴミを減らすために私たちができることについて、さまざまな手段を利活用し表現・発信する」活動の全体像なのですが、いろいろな教科を通して学ぶことが周辺から出ている矢印でおわかりいただけると思います。

●カリキュラムイメージマップ

 大事な点は、周辺の単元から子どもがそれぞれ得意な手段を選んで、目的を達成しましょうという形になっている点です。このような活動をしようと思うと、先生の頭の中に年間の授業の流れが入っていないといけませんし、有効なスキルを周辺の科目や単元で育成していかなければならない。年間のカリキュラムの全体像や子どもたちの能力形成も把握できなければならないので、ハードルが高いと思われるかもしれません。
 しかし、これができれば子どもたちは「すてきなパンフレットをつくることができた」「いいプレゼンができた」という経験のもとに、「あの授業で学んだこと」「あの活動で経験したこと」が生きていると気づきます。子どもたち自身もカリキュラムの時系列が意識できるようになってくるのかと思います。「ここで発揮できたのは、前にあの学習があったからだ」と子どもが認識できるようになればいいですね。

松井 本校にもパフォーマンス課題というものがあり、例えば、プラスチックゴミを減らすために、自分なりの考えをまとめてポスターセッションをすることを行っています。
 ただし、この活動を支えるためのさまざまな周辺での学びや、学年を超えて展開したものを、一つの図に体系化していくことはありませんでした。高学年になればこの図の中心部分はパフォーマンス課題であり、これに向かって子どもたちがどのような道筋をたどっていくのか、そのときに使う情報活用はどのようなものがあるのか、という点を整理するとよいと思います。
 例えば、それはインタビュー学習になるかもしれませんし、フィールド学習になるかもしれません。私も、このような図を作成して活動に加えてみたいと思います。

田部 現在は、とにかくたくさんICT機器を使う段階だと思います。いろいろな活用例や実践を系統立ててつながりを見いだし、子どもたちが目標に向かって活動に取り組めるようにしていくことが必要だと感じます。今、取り組んでいるさまざまな実践が共有できれば、授業の可能性がさらに広がります。

松井 たぶん、周辺の学習は皆さんそれぞれ、単体として取り組んでいるものだと思うのですが、中心に位置する活動に寄与しているということを上手に整理すると、子どもたちの力をより生かせるように思いますし、情報活用能力の育成を踏まえたカリキュラム・マネジメントが実現できるようになりますね。

豊田 コロナ禍の影響もあってICT教育は勢いをもって進んだと思うのですが、今、ようやく実践が積み上げられ、検証されはじめてきているところだと思います。より効果的な学びのための技術は日進月歩です。情報活用能力の基準も変化していくと思いますが、子どもの主体的な学びを促す中心軸は、これからも変わらないでしょう。

進行・文/岡本侑子