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教育ジャーナル Vol.33-4

■「40分授業午前5時間制」実践レポート
教科等を補完する時間で一人ひとりの「やりたい」を引き出す
40分授業午前5時間制で生まれた時間「ひぐみタイム」。その活用方法とは?②
【全3回】(第2回)

■「40分授業午前5時間制」実践レポート

 

教科等を補完する時間で一人ひとりの「やりたい」を引き出す

 

40分授業午前5時間制で生まれた時間「ひぐみタイム」。その活用方法とは?②


全3回【第2回】

(取材・文)
今井 美栄子

 

 昨年度から40分授業午前5時間制を導入し、研究開発学校として実践に取り組んでいる東汲沢小学校。今回は、4年生の「ひぐみタイム」の授業をレポートする。

 

フリートークでどんどん進む4年1組の「ひぐみタイム」

 そんな昨年度の実践を経て迎えた、今年(令和8年度)5月。4年1組の「ひぐみタイム」を見学させていただいた。担任は小山統成教諭、本研究の副主任でもある。

 教室に入ってまず目に飛び込んできたのは、洗濯物のように掲示された言葉のカード。これは学習の中で子どもたちと見つけた学び方のポイントだ。聞くとき、話すとき、書くときなどで色分けし、「あ、話す人を見よう」「この問いかけをしてみよう」などと、いつでも確認できるよう、目につくところに掲示している。教室での対話環境づくりも子どもと一緒に行っているようだ。

 今日のひぐみタイムは「みんなでトーク」。まさに掲示が生きてくる内容である。トークのテーマは「集めたくなるナゾ……みんなの家族は?」。児童の机はコの字型に並び、各自机にはタブレット端末を出している。

 前回の話し合いで「家族に収集している物を聞いてこよう」ということになったらしい。チャイムはなく、ふいに授業が始まり、「じゃあ誰から行きますか?」とスタートした。サッと何人かが手を挙げ、当てられた子がその場で話し始める。「おばあちゃんがキーホルダーを集めてる」。ふだんしゃべるような口調だ。

 すぐに、「おばあちゃん!」「キーホルダー!」など自由な反応が飛び交う。先生は板書しながら、「キーホルダーか、こんな感じかな?」とカラープリントしたキーホルダーのイメージ画像を黒板に貼る。そして、「どんなのか見たことある?」とその子に語りかける。「うーん、見たことあるけど……」とその子のペースで話を続けるのを、みんなで見守る。「おばあちゃんが飼っていた犬が死んじゃったから、お姉ちゃんが犬のキーホルダーをあげてた」「そうなんだね。じゃあ次の人を指して」……こんな感じで一人数分の発表が進んでいく。

 その後も「お母さんのアイドルの推しグッズ」「おじいちゃんの骨董品」「食べ物消しゴム」などバラエティ豊かに続き、「私も!」「おれも集めたい!」などの声が飛んだ。

 あまりにぎやかになりすぎたときは、「今は聞かないともったいないね。せっかく話している◯◯さんがかわいそう」と先生が穏やかに注意を促していた。

 先生が黒板に貼るイメージ画像は、聞いてきた子に事前に教えてもらい、先生が探しておいたもの。

 本来なら子ども自身に収集物を撮影して来てもらいたいが、今回は時間の都合で、先生が用意した。「画像でイメージを共有してわからない点を補足したかった」とのことだ。

「やりたいからやる」を導き出す問いかけと自由さ

 ところが、発表が進むと先生が画像を用意してない物も挙がってきた。

 ある子から「お母さんがシーグラスを集めている」という発表があると、「シーグラスって何?」「砂浜にある割れたガラスだけどそんなにとがってない」「長い時間が経ってるから、とがってたところが丸くなってる。どこの国から来たかわからない……」と次々に自由な発言が飛び交った。すると先生は、子どもの言葉をぱっと拾いあげ、「どこかの国から来るの?」「海で削られたの?」と問いを繰り出す。子どもたちが考えているうちに、今度はタブレット端末を操作していた子が、「シーグラス見つけた! ミラーリングしていいですか?」と言い出した。先生が大型モニターにつなぐと、みんなが注目。「きれい」「すべすべ」などの感想が出た。

 そうやって10人ほどの子どもが発表し、黒板は楽しげな写真と字で埋め尽くされた。 いろいろな人がいろいろな物を集めていることが一目で俯瞰できる。

 一部の子しか発表していないが、それでよいのか、あとから先生に聞いた。
「確かに家族に聞いてきていない子もいますが、そもそも全員が発表する前提ではありません。友達の話を聞いて、『あれ、うちの家族どうなってるんだろう? 聞いてみたいな』と思ってくれればいい。『ひぐみタイム』では『やりたいからやる』を大切にしています」

 そろそろ終わりの時間が近づいたところで、先生が丸い「?」のカードを取り出して問いかけた。「みんなのテーマ『集めたくなるナゾ』はわかったかな?」 さらに板書を指差しながら、「ここに『かわいいと感じた物は集めたくなる』とあるけど、ほかはどう?」と語りかける。
「なんで集めているかは聞いてない」と子どもたち。「どんなふうに聞いたらいいかな?」と先生。子どもたちからいろいろな意見が出る。「じゃあみんな、次は理由も聞いてみようか?」と先生。

 ここで今日の「ひぐみタイム」は終了。

 チャイムは鳴らず、緩やかに6校時へと移行した。

 

(第3回に続く)

次回の予定

10月26日(月)
教科等を補完する時間で一人ひとりの「やりたい」を引き出す③